ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せA
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「大丈夫か卑弥呼?」


ニヤリと笑う蛮。


卑弥呼は余裕面を浮かべそれに返す。


「問題ないわ」


ゆっくりと階段を降りていく卑弥呼に、銀次が応援の声を漏らす。


「頑張って卑弥呼ちゃん!」


下に到着した卑弥呼は、たたずむ男を見遣り口角をあげた。


「通させてもらうわよ」


スッと飛躍し、男の頭上へと舞い上がる卑弥呼。


毒香水(ポイズンパフューム)を操り、男の眼前に火炎香を散らす。


男はそれを思い切り吸い込み、意外にも勝負はあっという間に着いてしまった。


「あら?案外弱かったわね」


つまらなさそうに呟き、卑弥呼は肩をすくめ倒れた男を見下ろした。


喉が焼け切れ声が出せなくなった男に、一同も唖然とする。


この男から強い気配を感じていたのに、まるで拍子抜けだ。


「まあいいわ。先へ進みましょう」


更に下へ進むため、卑弥呼は部屋を横切り階段を探した。


見つけた階段を降りていき、また似たような部屋を見つけ、嫌な予感を覚える。


「なんだか、不思議な感じだね……」


銀次が呟き、それに花月が頷く。


「さっきから感じていたんですが…。このビル、どこもかしこも真っ白で居心地が悪い」


そう、建物の中は真っ白。


白すぎるほど真っ白で、汚れ一つ見当たらないのがかえって気味が悪い。


「沢山の殺気を感じるのに、人の気配が薄いな……」


士度も辺りを見渡し呟く。


まるで無人のような白い部屋。

「エイトはあっさりやられたか……」


突然響いた、何者かの声。


いつの間にか現れたその男に、士度が牙を剥く。


「てめぇ、何もんだっ」


灰色のコートを着ていて、相手の顔は見えない。


士度が戦闘体勢に入り、威嚇するように爪を構える。


男は不気味に笑い、ゆらりとお辞儀して見せた。


「俺はセブン。言っておくが、エイトよりは何倍も強いぞ?」


クス……。


という笑い声が聞こえたかと思った瞬間。


士度の目の前に、その男の姿はなかった。


「な!?」


「早いっ!!」


士度が振り返り、そこで見つけたセブンの攻撃をかろうじてかわす。


「へぇ、あんたもそこそこやれそうだね」


「そこそこ?何見てそう言ってんだよアンタ」


セブンの言葉に、士度はニヤリと笑った。


「まだ始まったばかりで、何がわかるってんだ」





 
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