ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せB
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「連れて来たよ、ワンさん。ヤれるよね?」


一段と広い部屋に連れてこられ、蛮たちはワンという男と対面した。


背が高く、今まで戦ってきた奴らと比べると格段に差があるのがわかる。


空気がヒリヒリと肌に刺さり、その場に居るだけで血を流しそうだ。


「コイツらを倒せば良いのか?シックス」


しゃがれた声でワンがシックスに問う。


「ワンさんの全力を出しちゃってよ。きっと六人全員で貴方を相手にしてくる」


まるで蛮じゃ役不足かのようにシックスは笑んだ。


「ふん。何匹集めたって私には敵うまいよ」


「よろしく頼みますよワンさん。俺は戦闘には向いてないからね」


「下がっていろ」


ワンの背後に下がり、シックスは壁にもたれると腕を組み傍観に撤した。


「オメエさんがどれほど強いかは知らねーが、俺ひとりでぶっ潰してやるよ」


ワンとシックスのやり取りに多少むかっ腹を立てた蛮が進み出て、拳を鳴らした。


「頑張って蛮ちゃん!! ケチョンケチョンにしてやってっ」


「おうよ!」


走りだし、ワンに飛び掛かっていく蛮。


それを見送り、シックスは銀次たちの元へと近付いた。


「ねえねえ雷帝。彼、いつもああなの?」


尋ねたシックスに、銀次は不機嫌そうに眉をしかめた。


「雷帝って呼ばないでくれない?今はゲットバッカーズの銀次なんだから」


今は雷帝と呼ばれることを好まない。


もうボルツの王者ではないのだから。


「そうなんだ。じゃあ銀次くん。ひとつだけ忠告してあげる。彼が大切なら、手伝った方がいいよ」


悪気なく笑い、シックスはつかめない表情で蛮とワンの戦いを見つめた。


「どうして?」


二人は互角……あるいは蛮が押しているようにも見える。


次々と繰り出される蛮の攻撃は確実にワンに当たっていた。


「ワンさんは本当に強いからさ。…というより、不死身なんだよ」


「不死身? 死なないってこと?」


シックスの苦笑に、銀次は首をかしげる。


シックスはもう一度彼らを一瞥すると、今度は銀次を見つめた。


「というよりは、化け物……って言った方が正しいのかな。彼は怪我をしてもすぐに治してしまうんだよ」


「そんなバカな」


「自己再生能力が異常に高いんだ。居るだろう?ヤモリとか蜥蜴科の生き物で、再生能力に優れた生物が」





 
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