ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せD
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感情のない曇った目が、何も映さないまま銀次の眼前に飛び込んできた。


瞬間、腹部に感じたひどい痛みに声にならない声で絶叫する。


「ぁ……ああ……―――っ!!」


「銀次!くそっ、ふざけるなっ」


「ダメだ!!ナインから離れろ!」


ナインを補助したり、ナインから遠ざけたり。


シックスがしたいことが良くわからない。


けれど、今はそんなことにかまけている余裕はない。


向かってくるナインにこちらからも向かって行き、蛮はいつの間にか本気で殺す勢いでスネークバイトを構えていた。


が、貫き、貫かれたのは別の人間の身体……。


「がはぁ…っ……っ!!」


蛮とナインの間に滑り込んだシックスの右胸を蛮が、腹部をナインが貫いた。


前後を同時に貫かれ、シックスは大量の血を吐きこぼしガクガクと震えた。


「ナ……イン……」


「てめぇ……なんで!!」


叫ぶ蛮と、動かなくなったナイン。


ズブリと容赦なく腕を引き抜き、体勢を崩したシックスを蛮が抱き止める。


「………」


ターゲットではない人間を貫いたことに気付いたからなのか、ナインはシックスを見つめ動かなくなった。


「…やっぱり……ダメだ…ナイン……―――」


「バカ!!喋るんじゃねぇっ」


声を出す度にシックスの口から血が吹き零れる。


確実に死に向かっているシックスに、蛮は焦りを覚えた。


「…ナインは……汚…れちゃ…ダメだ…………」


ドクドクと血を流す下腹部を押さえ、それでもシックスは笑った。


「…君は…綺麗…な…ままで……いて…よ……――…ゲホッゲホッ」


「もう黙れ!!今すぐ全員治療しねぇと……っ」


「……ナイン……任務は…終了だ……俺が……―――」


俺が死ねばデータは完成するのだから。


そう言いきる前に、シックスの意識は薄れていく。


任務終了と聞いたナインは、たちまち戦闘体勢を崩した。


けれど、再びスピーカーが音を奏で始める。


『ナイン。任務は続行だ。これからやって来る奴らも全員この場で抹殺しろ』


林川の嘲笑の混じった声が辺りに響き、ナインの身体に再びスイッチが入る。


何人かが階段を降りてくる気配を感じ、蛮は叫んだ。


「やめろぉおぉおおおっ!!!!」


部屋に現れた花月、赤屍、士度に、ナインが赤く染まった手を振り上げた……―――





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