ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せE
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『全員抹殺しろ』


頭に、その言葉だけが響く。


あとは何も、ワカラナイ。


ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ、ワカラナイ。


『君は……汚…れちゃ…ダメだ………』


汚れる?


ソレハ、ナニ……?


この赤い血は、誰ノモノ……―――?


「な!?避けるんだ士度!!」


記憶が、回る。


『ちゃんと食べないから倒れるんだバカ野郎。ほら、一緒に食堂行くぞ』


『やっぱり強いなぁ、ナインは。俺、もう敵わないや』


『まぁたここに居たのかよ。つか、また寝てないな!?お前は人間なんだって少しはわかれよ』


シックス?


「〜に、すんだこのアマァ!!」


何ノ声ダ?


コレハ……―――?


「赤屍!」


『ナイン、本当の名前、覚えてるか?』


名前……―――


ワタシノ、名前……―――


「バケモノかこの女はっ」


「ゾクゾクしますね………」


「女性相手に、本気なんか出せない……!!」


誰カガ喋ッテル。


抹殺シナキャ、抹殺、抹殺、抹殺……―――


『ナイン、いつか思い出せたら良いな。お前の無くしちゃった記憶とか、感情とかさ』


『笑ってるナイン見てみたいんだよね』


シックス?


コノ声ハ、シックス……―――?


「士度!!そんな……っ!!」


「手を抜くからです。貴方まで倒されるとは……」


「赤…屍……ダメだ、殺してはいけない。きっと……彼女にも……」


「面倒ですね……。!?」


『ナイン、君は、綺麗なままでいてよ』


グチャリ……―――


生ぬるい感触と、鉄の匂い……。


急速に、思考が回り始める。


記憶が、巻き戻される。


目の前に倒れた血まみれの人間が七人。


うち、一人は知っている顔だ。


ずっと側に居て、ずっと笑い掛けてくれていた人間だ。


私が殺ったの?


『良くやった、ナイン。素晴らしいよ、実に、実に!!』


スピーカーから聞こえてきた声に、ピクリと身体が揺れる。


次第にはっきりしていく思考。


コノ手が赤いのは、シックスを突き刺したから。


この場に転がる来訪者を、自分が突き刺したから。


ひどい血の匂いに、目眩がした。


『実は俺、ちゃんと名前を覚えてるんだよね。そうだな、ナインにだけは教えておこうかな……』


笑った彼を、覚えている。


私が誰だったのか、今、思い出した。





 
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