ゲットバッカーズ〜dream the world〜
□記憶の破片を取り戻せG
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三年前。
伊月がまだ十六だった時……―――
夏目一族としての成人を迎えた伊月は、最後の力を得るべくひとり御堂の中に入り、瞑想を続けていた。
これは二十四時間集中し続けなければならないという過酷なもので、一睡もせず、ただひたすらに自分という存在を自然と溶け合うよう気配を同化させるための修行だった。
あと数時間で夜明けが訪れ、修行が終わる。
もう少しの辛抱だと気を引き締めた伊月。
その耳に、ふいに叫び声が響いて来た。
………!!
思わず瞑想から飛び出した伊月。
ついで聞こえた悲鳴に、修行さえも忘れて伊月は御堂からも飛び出した。
「何事!?」
屋敷に向かい、叫び声がした場所へ駆けつけた伊月が見たもの。
それは、あまりにも残酷な景色だった。
おびただしいほどの血の池。
横たわるたくさんの親族たち。
何者かによって心臓を貫かれた父の姿。
そして、伊月を見付け青ざめた母の顔。
「どうして来たの!!伊月……っっっ!!」
叫ぶ母に伊月は震える。
「今すぐ、逃げなさい!!」
私が彼らを留めているその間に……―――
必死な顔で伊月を逃がそうとする母。
「風鳥院にお行きなさい!!」
叫ぶ母だが、伊月は一歩も動けなかった。
何故なら、その母を誰かが貫いたから……―――
「お母様ぁあああああああッ!!!!!!」
「夏目の人間はひとりだけで良い……クックック。さあ、おいで?お嬢さん……―――」
眼鏡を掛けた、汚い笑みを浮かべた男が伊月に手を差し伸ばす。
「触るな!!」
叫んで、伊月は駆け出した。
走りながら、廊下に倒れている臣下や親族たちを見付け泣き叫ぶ。
「どうして……!!誰か……誰か助けて……っ―――……!!」
ダメだ。
巻き込むわけにはいかない。
花月を巻き込むわけには……―――
「無駄だよお嬢さん。もうこの家には君以外生きてはいないのだから……」
背後から聞こえた声に。
捕らえられた腕に。
頭が真っ白になった……―――
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