白銀の魂
□出会いなんていつどこであるのかわからないって話です 第一話
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―此処は……どこ………?―
パチリと目を覚ました彼女の思考は鈍く、そしてひたすら重かった。
自分が置かれている状況を理解出来ていない。
体が揺れている感覚と生臭く香る水の匂いが、鈍く働く神経を小さく刺激し、今ある状況をゆっくりと脳に伝達させる。
―冷たい………?―
そう感じた次の瞬間、一気に痛覚が覚醒し、彼女から声にならない悲鳴が上がった。
痛い。
寒い。
苦しい。
痛い、痛い痛い痛い痛い痛い……!!
全身にガンガンと金槌を打ち付けられるような痛みが響き、恐ろしいほどの寒さが身体の芯をズキズキと突き刺す。
―此処はどこ…!?―
波に揺られ、自分が海に浮かんでいることは理解出来た。
けれど、目に飛び込んで来た景色は見覚えのない港。
不安感が脳を支配しパニックを起こす。
―…誰か助けて………――…誰…か……?―
誰かって誰…?
誰に助けを求める?
助けを求める権利が、自分にはあるの?
生理的に伸ばしていた手を力なく海に落とし、彼女は海に身を委ねた。
沈んでゆく身体をどうにかしようとは考えなくなり、ただ冷たく重い海へと沈んで行く。
やがて意識は遠ざかっていき、彼女の消え行く意識の中、やたら濁った空が見え、そして消えた。
どこかで、誰かの声が聞こえたような気がした。
まるで生きろとでも言うかのように、こちらに手を伸ばしているような………。
でも、もう良い。
良く考えれば、自分は生きたいとは思っていないのだ。
このまま死んでしまっても、悲しくも後悔することもない。
だから…――――
「―――――――!!」
―*―*―
「お帰りなさい銀さん………って、ぇええ!?何拾って来てんですかソレェエエエ!!」
銀時が家に帰るなり、新八が目を見開き大口を開けて大きな声で叫んだ。
それに対して銀時は面倒くさそうに眉をしかめ、頭をコキコキと鳴らす。
「うっせぇな少しは静かにお出迎え出来ねぇのかてめぇは。ちょっとボランティア的なことをしただけじゃん。いちいちリアクションが大袈裟なんだよ、リアクションがぁ」
「いやいやいやいや!!そんなもの担いで来ておいて、ちょっとしたボランティアだなんて言えませんからね!?とうとうヤバい仕事引き受けちゃったんですか銀さんっ---ぐはぁっ!?」