白銀の魂
□うるさい目覚ましに切れて壊したことって何回くらいある?ちなみに壊した後はオカンからの痛い仕置きもあるよね。第六話
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沙耶が来てから3日目の朝。
この日は珍しく、銀時も神楽も朝からきちんと起きていた。
理由は斯く斯く然々……。
新八の銀時起こし方講座がことの発端である。
時は昨日の朝に遡り、またもや朝を過ぎても起きてこない二人に沙耶が取った行動。
新八の教えた、普通じゃない起こし方を実践したが故の結果が最悪だった。
「ぐぉ〜……ふぐっ……ぐぁ〜……」
「ぐががが……何を躊躇ってるネ!!そのしゃぶしゃぶは私のものネッッ!!……ぐごぉ〜」
「………」
神楽がどんな夢を見ているかは知らないが、沙耶は二人を前に立ち尽くし、無表情に二人を見下ろしていた。
昨日の夜も飲んだくれて眠りについた銀時。
神楽は成長期が云々とか言いながら、早い時間から寝ていたはずなのに起きてこない。
昨日新八に起こし方を習ったが、いつ実践すべきかと頭を捻らせていた。
もうお昼をだいぶ過ぎたから、起こすべきだろうか。
ひとり思案し、沙耶は意を決して二人に近付いた。
「起きて」
「んぁ〜…?」
ヒュッ……ドガ!!
「ッッ!!!!!!???」
「あ」
沙耶の声で少しだけ目を開けた銀時。
その横を、沙耶の踵落としが横切った。
ものすごい勢いで落とされた踵は、畳にめり込み深い溝を造り上げている。
「な……何を……」
目をひんむいて冷や汗だらだらな銀時に、沙耶は淡々と言い捨てた。
「すまない。起こそうと思ったんだが、あなたが動くから逸れてしまった」
「起こすってか殺る気!?え、なに、はは……俺、昨日何かした??」
「いや、何も。ただ起こそうとしただけ」
「ウソつけぇええ!?!?床に穴空いちゃってんだけどッッ!!これ喰らってたら、銀さんに穴が空いてたんだけどぉおお!?」
「加減はした」
「そーゆう問題ィイイ!?」
叫ぶ銀時に、沙耶は首を傾げる。
本当に、起こすだけのつもりだった。
冷や汗だらだらで顔を真っ青にする銀時に沙耶は瞬きを返し、不意に神楽を見る。
「こっちはまだ起きてない」
「は?」
銀時から離れ、神楽に近付いた沙耶。