白銀の魂

□けじめを付ける時は一対一で。でもたまには仲間を頼っても良いと思います。中編 第九話
1ページ/5ページ




「……ぎ……ん……―――」
























痛い。


というより、゙熱い゙と感じた。


身体中が火傷をしたみたいに熱くて、鉛が乗っているように重たかった。


思考は真っ白で、浮遊感に捕らわれていて、何も考えられない。


波が引いては返しているみたいな、そんな穏やかな音にやすらぎすら感じ始めた。


このまま眠れば、きっと気持ちが良いに違いない。


何もかもを忘れて、眠りについてしまえば、きっと……―――


「沙耶っっっっっ!!」


ドクン――………


遠くで聞こえた声に、身体が勝手に反応した。


「沙耶さんっっ!!」


「沙耶姐ぇっっ!!」


ドクン――ドクン――………


強く波打つ鼓動が、何度も胸を叩く。





起きろ。


目を覚ませ。


何をボケっとぶっ倒れてる。


守りたいんじゃなかったのか?





そんな声が頭の中で大きく響いた。


それと一緒に、身体中から悲鳴も上がる。





もう無理。


立てない。


このまま眠ってしまいたい。


もう、生きていたくはないの……―――





今まで自分というものがわからないまま生きてきた。


もう顔すら覚えてはいないが、両親を取り上げられ、散々虐げられた。


人を殺す為に生かされ、自由など存在しない日々。


そんな中で、何にすがって生きようと思う?


痛みしかないのに、どうして生きたいだなんて思えるの。


私は、もう……―――


「沙耶、―――――――ッ!!」








ドク――………ン









―*―*―




「沙耶が居ねぇ!!」


「沙耶姐どこ行ったアルか!?」


「ちょっ、銀さん、神楽ちゃん!!いったいどうしたんですかこの騒ぎ!」


万事屋のお昼。


外に響くほどの騒ぎ声に、歌舞伎町がざわついた。


「まさか快気祝いにドッキリ考えてる訳じゃあないよな!! いや、そんなこたぁないか!」


「沙耶姐が黙って出ていく理由がないアル!」


「はっ!まさか、例の……」


ワタワタと騒ぎ回る中、ハッと新八が呟いた。


瞬間、銀時と神楽の脳裏にも、考えたくない予測が浮かんでしまう。


まさか、と。





 
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ