ゲットバッカーズ〜dream the world〜

□記憶の破片を取り戻せB
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尾を切られても、時間が経てば再生する能力のあるヤモリ。


人間が皮膚を再構築することが出来るのも、その能力が少なからず備わっている為だ。


「で、人間にもその力はあるんだよ。君が電気の力を自在に操れるように、彼はその力が強いゆえに傷を一瞬で治癒する力を操れるんだ」


「そんなバカな……じゃあどんな傷を負っても彼は」


「死なないんだ」


「そんな!!」


シックスは更に苦笑し、つまらなさそうに呟いた。


「だから誰にもワンさんは倒せない。きっと君らにもね」


「……蛮ちゃん」


幾度となく攻撃しているのに、ワンの傷はあっという間に回復していく。


「ほら、せっかく情報をあげたんだから、助けに行ったら?」


どちらが有利か、結果を見なくてもわかる。


シックスは心配そうに彼らを見つめる銀次にそうけしかけた。


けれど、銀次はふいに瞳に強い輝きを浮かべ、頭を振った。


「いや、俺は蛮ちゃんを信じる!」


「……アンタって頭弱そうだね。他の奴らは?聞いていたんだろ、行かないの?」


やけに強気な銀次を見遣り、シックスは唖然とした。


その仲間たちの表情も銀次とさほど変わらない輝きをみせている。


そこで卑弥呼が声をあげた。


「そうね、行こうかしら」


意外な言葉に、銀次が驚く。


「卑弥呼ちゃん!!」


蛮ちゃんを信じていないの?という表情を浮かべる銀次に、卑弥呼がクスリと笑う。


「あんな化け物相手じゃ、いつまで経っても先へ進めそうにないからね。この際、全部あのバカに任せて私たちだけ下へ降りるわ」


埒があかないなら、素通りすればいい。


士度もそれに賛成のようで、卑弥呼の隣に並び歩き始めた。


「ダメだというルールではないだろう? それとも、力ずくで止めるか?」


ふと足を止め、士度はシックスを見る。


卑弥呼、銀次、花月の視線を受け、シックスは困ったように頭を描いた。


「……止めたいところだけど、やめとくよ。俺は戦えないからね」


溜め息ひとつ吐いて、シックスは歩き出す。


「ワンさん、彼と楽しくやってて。俺はこれからマスターの所までこの人たちを案内するから」


「ちょっと待てぇえええ!!置いていくなよっ、代われ赤屍ぇええっ」


「え、蛮ちゃん!?」


シックスがワンに手を振った時、蛮が猛スピードでこちらに走って来た。





 
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