番外編

□君に嘘・・・─
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KH特別編


『君に嘘』



























ソラとカイリが付き合い出した。


二人は内緒にしているようだけれど、バレバレな態度であっさり気付いてしまった。


私は別に気にはしなかったし、むしろようやくくっついたのか、と呆れたくらいだ。


だけど、リクはそうじゃなかった。


いつもソラとなにかを取り合っていたリクが、カイリのことも手にいれようとしていたのを私は知っている。


私には関係ないと、そう決め込んで無視をしていたけれど……そう、つい邪な思いを抱いてしまったんだ。


今のリクならば、つつけば簡単に私のものになるんじゃないかと……。


リクはどうしてか、私がソラを好きだと思い込んでいた。


そんなんだから、二人が付き合った今、私に対してはひどく同情的なリク。


珍しく弱気な姿をみせたりなんかして、そんなリクに、私はつい感情が高ぶって言ってしまったんだ。


「ねえ、忘れようよ。こんなの、辛いだけじゃない……」


そう言って、リクを抱き締めた私。


リクは一瞬驚いた様子を見せていたけれど、ややあって、私の背中にそっと腕を回してきた。


「……夢主も辛いんだよな。でも、この気持ちを忘れるのに、何が必要かわからないんだ」


悲しげにそう溢したリク。


私はひどい事を囁いた。


「二人で忘れよう?私の傷を、リクが舐めてよ。リクの傷は、私が舐めてあげるから……」


傷を舐めあって、癒し合おう?


リクの背中に回した腕に力を込めて、私はさも悲しんでいるように嘆いてみせた。


本当は、悲しくなんてないくせに……。


リクが勝手に勘違いしているだけで、私は別にソラなんか好きじゃない。


好きなのはずっと、リクだけなんだ……―――


だけどリクの心は今はカイリのもの。


それが手に入らないのなら、身体だけでも。


リクに触れられるなら、慰め合うふりをしたって構わない。


私は精一杯の演技をして、悲しげな表情を浮かべて、リクの顔を覗き込んだ。


互いの視線が絡み合い、リクの瞳が苦しそうに揺れたのが見えた。


ねえ、リク。


私が貴方を慰めてあげる……。


傷付いたリクの心につけこんで、私は目の前の愛しい唇にキスを落とした……―――










 
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