番外編

□君に嘘・・・─
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それからの私たちの関係は、とても歪なものだった。


恋人同士でも、思い合ってもいないのに、もう何度も口付けを交わしていた。


カイリとソラが手を繋いでいるのを目撃してしまったリクを慰めるという名目で、何度も抱き締めた。


そうすればリクも応えてくれて、いつしかリクの方からキスをくれるようにもなっていた。


それが嬉しくて、私たちの関係はどんどんとエスカレートしていく。


手を繋いで歩くことはなくても、こうして抱き締めあったりキスをしたり……。


それだけで私の片思いは報われたような気がしたんだ。
















夕暮れ時のリクの部屋。


いつの頃からか二人で過ごすことが多くなっていた私とリクは、今日もいつも通り傷を埋めあっていた。


「夢主……」


きゅっと抱き締められ、私はリクの背中に腕を回して隙間を埋める。


愛しい人。


普段は強くてカッコいいリクなのに、こんな風に傷付いたりしているのを見ると、少し可愛くも思える。


どちらともなく唇を重ねて、深く深く口付けて、互いを溶かすように熱を感じた。


瞳を閉じて私に触れるリクを見詰め、ふいに胸の辺りがツキンと痛んだような気がしたけれど、私はそれに気付かないふりをした。


ますます深くなっていく口付け。


いつの間にか床に押し倒されていて、その先の行為を想像して身体が熱くなる。


このままリクとひとつに……―――


優しいリクの手が、試すように私に触れていく。


髪を掻き上げられ、耳たぶにキスを落とされた。


「……っ……はっ……」


ブルブルと全身を駆けめぐる、くすぐったいような感覚。


ふいに甘噛みをされて、ゾクッとのけ反った。


「や……リク……っ!」


頭が真っ白に染まっていく。


リクの息遣いが直接耳に届くから、いつもより一層近くに居る気持ちになった。


「っ夢主……もっと触れたい……」


この先へ進んでも良いか?


リクの切なげな表情がそう尋ねていて、私は迷う間もなく頷いた。


ずっと、願っていたんだ。


「リク、もっと触って……っ」


私に、溶けて……―――


腕を伸ばし、私に覆い被さるリクの背中を抱き寄せる。


顔が近付いて、リクの方から深く口付けてきてくれた。


口内をかき回すような、今までで一番熱い口付け。


目の前がチカチカ瞬いて、うまく呼吸も出来なくて。


それでも私はリクの口付けに応え続けた。


合わさる肌が、どうしてだか泣きたくなるほど心地よかった……―――





 
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