10/19の日記

22:14
狸寝入り
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おいおいおい、どうすんだコレェ……。


コイツを取っ捕まえてここに連れて来たのは良いとして、なんでコイツはこんなに暢気に俺の前で寝ていられるんだ。


なんだ、男に見られてないってか?


ざけんなよ。


こっちは無防備に口なんか半開きにして間抜け面で寝ているお前を、今すぐにでも襲いたいという耐え難い衝動と必死で戦ってるんだ。


マジないだろ。


久しぶりに会えて、やっとゆっくり時間を共有出来ると思っていたのに、だ。


お前は未だに寝てやがる。


お腹が脹れたら眠くなる癖、まだ直っていなかったのかチキショウが。


仮にも男の家だぞ。


付き合ってもいねぇ、友達ってだけの肩書きの俺ん家でスヤスヤスヤスヤと……。


マジであり得ねぇ。


マジでいっぺん犯してやろうかこの女。


とに、かく、だ。


いびきまで掻き始めたこのバカ女を起こせ俺。


このまま無防備に寝られたら、コイツに何もしないという自信がなくなる。


「おい、起きろバカ」


どっかのオヤジほど煩くはないが、妙に笑えるいびきを止めるためにコイツの鼻を摘まんでみた。


「ゔ」と眉間にシワを寄せて、イヤイヤと緩く首を振るお前が、惚れた弱みなのか可愛く見える。


しまいには口で呼吸をしだしたお前に、摘まんだ鼻は意味をなさなくなった。


「くそ、本気で襲うぞバカ」


なんて小さく吐き捨てて、俺はお前の鼻から手を離すとシワの寄った眉間を突ついてやった。


未だ起きる気配はない。


こんなにも気を許されると、逆に期待をしてしまう。


もしかするとコイツ、本当は俺の事を……?


なんて、バカみたいな妄想をしちまう。


男として見られてないからだってバリバリわかってるくせにな。


だけど、なあ…――


抱き締めるくらいなら、許されるか?


寝ているお前を、お前が知らないうちに抱き締めるだけなら許されるだろうか。


本当は無防備に開いた唇を奪って普段は聴けない声を出させて、俺の手で乱れさせたいんだけどな。


まあ、それは我慢するから。


だから、せめて寝ているお前を抱き締めるくらい許せよ。


華奢で柔らかいその身体に、俺は恐る恐る触れてみた。


熱い身体をそっと抱き締めてみたら、思いの外あっさりとこの腕の中に収まった。


そしてふいに感じた吐息に目をひんむく。


コイツ、まさか……―――





 

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