小説
□RPG7
1ページ/6ページ
❀第七話目❀
「ぅおりゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
一人の少女が広い平野で叫んでいる。
少女の向かい側には、巨大ネズミが一匹。
どうやら、戦闘シーンのようだ。
少女の武器はボウガンだ。しかも連射式らしい。
しかし、武器の扱いに慣れていないのか少女は時折ボウガンを落としそうになっている。
それでも、少女のボウガンから放たれる矢は確実に巨大ネズミに当たっていた。
「私の力をナメんなよーッ」
少女と巨大ネズミが戦うことになる少し前のこと。
「へぇ、ムッちゃんの武器、ボウガンになったんだ」
真新しい武器――ボウガンを眺めながら、アヤは言った。
「え? ちょっと、軽くない? 一大イベントだよ? ボウガンだよ?
しかも連射式で、ちょっとレアなやつなんだけど……」
明らかにテンションの下がっているムツミが、しょげたようにアヤに言う。
「え? あー、ごめん」
軽く棒読みだが、そこら辺は気にしたら負けだ。
「アヤちゃんヒドくない? ケイスケも思うでしょ?」
「…………………さぁ……」
いきなり話を振られたケイスケだが、さほど驚いた様子もなくムツミの方を見ながら首をかしげた。
「ふ、二人共…ヒドい」
若干、芝居がかったような言い方でムツミは呟いた。
そんな彼女を見たアヤは、やれやれとでも言うように苦笑しながら、なぐさめの言葉を掛けた。
「本当にごめんね、ムッちゃ―」
「グガアァアァァァァアアアアアアアアアァァ!!!!」
アヤの言葉を遮るように聞こえたその鳴き声は、二人にとってトラウマでしかないものだった。
「おお? 魔物の声だな。ずいぶん近いところで聞こえた気がしたが…、まぁ森に居るヤツだろうな」
ケイスケの父親がのんびりとした声で言う。
しかし、子供ら三人には変な緊張感が走っていた。
「この声って、もしかして…」
「……………(こくり)」
「まだ、いたの? アイツら」
突然現れた、巨大ネズミはこの前見たヤツよりも二回りほど大きいようだ。
このへんの森のボスなのだろうか。
「でも、あたしには“これ”があるもんね」
自信満々にそう言ってムツミはニヤリと笑った。