金田一

□臨時マネージャー
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『合宿中の臨時マネージャーをすることになりました、1年の木下です
よろしくお願いします』



真新しい学校指定のジャージを着て挨拶をする木下


それにパラパラと拍手が沸き起こると、彼女は恥ずかしそうにうつむいて、そそくさと体育館から出て行った









及「あらら、逃げちゃった」

岩「そりゃ、いきなり何十人ものガタイのいい男に囲まれたら怖いだろ」

及「それもそっか

じゃあ金田一、ちょっと手伝ってきてー」

金「! はいっ」





及川さんに言われ、金田一が木下の後を追う

わざわざ金田一を指名したところを見ると、及川さんは金田一の気持ちに気付いているのだろう





及「んー?どしたの国見ちゃん」

国「及川さんは何でもお見通しなんだなあと思ってたところです」

松「だから友達にはなりたくねぇタイプだよな」

花「弱み握られそう」

及「なんで??!」

岩「うるせえ」



げし、と岩泉さんが及川さんを蹴り、コートに向かった


後を追う前にちらりと体育館の外を見ると、体育館からほど近い場所にある水道で、2人は一緒にジャグの準備をしていた













***




岩「おーい木下ー、ゼッケン配ってくれー」

『はい!』

及「あと得点板こっちに置いといてー」

『はい!』






合宿初日の部活動も終わりに近付き、最後は簡単なゲームをして終わるそうだ


1日慣れない事ばかりでドタバタしていたのを気遣ってくれたのか、溝口コーチに「試合を見てみたらいい」と言われた











ゼッケンを配り終え、コーチ達の近くでミニゲームを見学する


あれだけのハードな練習の後なのに、どの選手もパフォーマンスが落ちてない
それに加え、高く飛んではスパイクを決めている


あまりの迫力に圧倒された










ゲームを終え、体育館の整備に入る

私は合宿施設の食堂に向かい、他の部員の方達と一緒にご飯を作った











国「木下、本当に手際いいね」

金「慣れてるんだな」

『そうかな』



普段の何倍もの労力を要するご飯作りにせっせと取り組んでいたら、体育館整備を終えた金田一くんと国見くんが食堂にやって来た


お疲れ様、と声をかけると手伝ってくれた










及「わ!薫ちゃん凄い!これ一人で作ったの?」

『いえまさか、他の部員さんに手伝ってもらいましたよ』

岩「そっか、どんどんコキ使っていいからな」



出来上がったご飯を配膳すると、徐々に食堂が賑わってきた

慌ただしく配膳を終え、及川さんのご好意でみなさんと一緒にご飯をいただく


金田一くんの隣に座らせてもらい、バレー部の皆さんと楽しくご飯を食べた


















***




岩「木下、片付けは俺らがやるから帰る準備しとけ」

『えっ、良いんですか?』

及「いいんだよ〜
慣れないことばっかで疲れたでしょう?

帰りは金田一が送るから!」



パチーン☆と言わんばかりのアイドルウィンクをする及川さんに少し苦笑いしていると、岩泉さんが「後輩ドン引きさせてどうする」と叱っていた







岩「!

良いところに来た




金田一!」

金「!

何ですか?」

岩「木下はコレで今日は終わりだから、ちょっと送ってこい

帰ってきたら風呂とミーティングだからな」

金「あ、はい!分かりました





木下、玄関で待ってる」

『うん、ありがとう』



わざわざ及川さんと岩泉さんに一礼し、金田一くんがパタパタと食堂から出て行く

偉いなー、なんてぼんやりと後ろ姿を眺めていると、及川さんがニヤリと笑った









及「薫ちゃんってさ、金田一の事どう思ってるの?」

『へ』

岩「おいグズ川」

及「良いじゃんちょっとくらい!」


どう思ってる?とニコニコ笑って言う及川さんに曖昧に笑い返し、口を開いた














『優しくしてくれる良いお友達ですよ』



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