金田一

□合宿終了!
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練習試合は無事に勝利を収め、合宿はそこで終了した


練習試合で、岩泉さんを筆頭に三年生レギュラーがことごとくあの絡んできた人の顔面を狙っていたのはびっくりした



最終的に岩泉さんの渾身のスパイクが顔面にめり込んだあのシーンは、きっと忘れはしないだろう










金「木下、最後だしみんなで送ってくって」

『うん、ありがとう』

国「はー…、やっと終わった…」

『二人ともお疲れ様でした』



にこ、と優しく笑う木下に、つられて笑う

彼女も初めてのマネージャー業務で疲れただろう



相手校が帰って行った後に体育館の片付けをしつつ、お互いに疲れたとか楽しかったとか、そんな他愛もない話を繰り返す



三人でネットやカゴや得点板をどんどん回収していく中、ふと思い出したように国見が口を開いた









国「そう言えば木下さ、試合前にかなり咳き込んでたじゃん、体育館裏で

もう大丈夫なの?」

『うん、大丈夫だよ、ご心配おかけしました』

国「なら良いんだけど…

あとさ」

『うん?』

金「?」




ガタン、とボールが入ったカゴを片付けると、国見はじっと木下を見る

その目が真剣味を帯びていて、少し驚いた









国「体育館裏の、ちょうど木下がいた場所にたくさん花びらがあった

あそこ、花壇からは離れた場所にあると思うんだけど」

『!!』

金「あぁ、あれか」




確かに彼女の足元には花びらが落ちていた

そう言えば、体育館のそばにある花壇からはだいぶ離れているし、確かに不思議だ









国「アレさ、何か不自然じゃない?」

金「……確かに、違和感は感じたけど

でもそんな事聞いてどうするんだ?木下に分かるわけないだろ」

国「………何となく、気になったから聞いてみただけ

で、木下はどう思うの、花屋的に」

『え、と』





ドッドッと鼓動が激しくなる

国見くんがここまで鋭いなんて








何とか誤魔化せ、大丈夫、金田一くんはそこまで不思議がっていない








『……もしかしたら、あのあたりに鳥が運んできたのかも
ほら、鳥って結構花をつつくから

それか風とか、色々と考えられると思う』

国「………なるほどね」

金「鳥って花が好きなのか?」

『中には花の蜜を好む鳥もいるよ、それに鳥の足に胞子をつけて繁殖する花もあるから』

金「へー!」




さすが木下、と笑う金田一くんに、胸がギリギリと締め付けられるような苦しさを感じた


ふと国見くんを見ると、彼は少し考え込んでいるようだ









及「薫ちゃーん、ちょっと来てー」

『!

はいっ!』



三人でいるところに及川さんが声をかけてくる

それに返事をして、慌てて及川さんのもとに向かった




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