金田一

□部室トーク
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ある日の部活の後、いつものようにグダグダと帰り支度をしている部員たち

そんな中、一部の人間は完全にフリーズしていた









及「……ごめん金田一、及川さんちょっと聞き取れなかったみたい

もう一回言って?」

花「俺にももう一回言って、幻聴だと信じたい」

金「え……?

いや、だから、その、で、デートとかって、その、どこに行けば良いですかね……って……」

松「………金田一と木下さんて、付き合ってどのくらい経つっけ」

国「二ヶ月ですよ」

岩「あ、もうそんなになるのか」

及「岩ちゃん突っ込むとこそこじゃない!!


てか、え、嘘でしょ金田一!お前ら付き合って二ヶ月経つのに今さら俺にデートのこと聞くの?!

あ、待って、もしかしてデートは何回もしてるけどそろそろネタが尽きたとかそういう?そういう話?!」

金「え?!いやまさか!デートは初めて、です」

及「はぁぁぁぁぁぁ?!」

岩「うるせぇクソ川!!」




ゴン!と岩泉さんが及川さんに頭突きをかました

まぁ及川さんたちがフリーズするのも頷ける、俺だって最初に相談された時は笑ったのだから







金「……俺何か変なこと言いました…?」

国「だから言ったろ、お前ら何もしてなさ過ぎるって」

金「んなこと言われたって!」

及「ちょちょちょちょちょっと待とうか国見ちゃん!

てかもう金田一!そこに直れ!座れ!正座しろ!」

金「えっ、ハイ」

及「及川さんに包み隠さず話しなよ?!

お前らぶっちゃけどこまでいった?!!」

国「愚問ですよ及川さん
コイツが何か出来ると思いますか、このらっきょが」

及「………え、待って、ピュアカップルだとは思ってたけどまさか、何もしてないの?!」




硬直する金田一を見て周りは察したのか、何か哀れむような眼差しになる

そんな中、花巻が恐る恐る問いかけた








花「金田一、二人で帰ったことあるか?」

金「え?そりゃ、付き合う前も帰ってましたからありますよ」

花「あ、そっか合宿の時…

じゃあ手は?つないだことある?」

金「………。」

花「ハグ」

金「…………。」

花「キ「マッキーストップ!!なんか金田一が可哀想になってきた!!」

お、おう…」

松「まぁカップルなんてそれぞれだしな」

岩「そうだよな」

及「ちょっとそこの二人うるさいよ!」

花「これは……、由々しき事態だ」

国「いや楽しんでるだけですよね二人とも」

及「国見ちゃんしー!」




ボソッとつぶやいた国見の口を及川がふさぎ、そのまま黙らせる

そして及川はまだ正座してる金田一の前に、同じように正座をした






及「じゃあ金田一は、初デートにどこ行けばいいのかっていう相談をしたいのね?」

金「……まぁ、はい」

及「むしろ今までデートしてなかったことに及川さんは驚きを隠せないんだけど」

金「や、その、今までも何度か誘ってみたんですけど、部活で忙しいから無理しなくていいって言われて…
それに教室でも会えるし、月曜は一緒に帰ってるからそれで十分だって言うから…」

松「木下が良い子過ぎる」

花「この彼氏にあの彼女あり、だな」

国「うちのクラス公認です」

「「だろうな」」




ケタケタ笑う花巻さんと松川さんを見て呆れていると、及川さんが口を開いた






及「薫ちゃんがついにデートのお誘いを受けてくれたと?」

金「っす、今度の休みにどっか行こうってなって…」

及「ふんふんなるほど


よし、じゃあ及川さんに任せなさい!
初々しいカップルの初デートにぴったりなデートプランを授けよう!」

金「!

あざす!」



バッと深く頭を下げる金田一に、及川さんはニコニコと笑う

そのままあれやこれやと話し始めた二人に、なぜか花巻さんと松川さんも混ざっていた









***






『水族館?』


「おう、高校生学割がきくし、場所もそう遠くないから
ここなら良いかと思って

どうだ?」


『いいね、水族館なんて久しく行ってないし

楽しみ』


「!

良かった、じゃあ今度の休みはそこ行こうぜ」


『うん』




ニコニコと笑う木下に、この前及川さんにもらった水族館のチケットを渡す

それを受け取ると、彼女は嬉しそうに笑顔を濃くした





せっかくの初デートだ、楽しいところが良いに決まってる



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