宍戸さん

□エキシビジョンマッチ
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受験まであと数ヶ月というこの時期

氷帝学園中では毎年恒例のエキシビションマッチの企画が始まっていた


引退した三年生も参加できる学園全体のイベントで、部活ごとに”魅せる”スポーツの試合を行う


それにはもちろんテニス部も入っており、毎年盛況だ









「今年のエキシビションマッチは例年通り、レギュラーと準レギュラーによるトーナメントだ」




久しぶりに三年生の元レギュラー達と、二年生の現レギュラー達が部室に集う


その中のミーティングルームでは、生徒会長兼前部長の跡部がエキシビションマッチについての説明をしている



岳人が隣のジローの肩を揺すって起こそうとしているが、ジローは相変わらずだ

コイツ、仮にも受験生なのに大丈夫なのか




ジローに気付いた跡部は「放っておけ」と言い、また説明を始めた









跡「それと、今年のテニス部が男子も女子も全国大会に出場したのは知ってるな

その功績を称え、エキシビションマッチで特別にもうひと枠用意された」

忍「もうひと枠?

ちゅーことは、テニス部は男女のトーナメント以外にも何かやるんか?」

跡「あぁ



今年はミクスドのトーナメントを行う」

「「「?!」」」




ざわざわ、と部員達がどよめく

俺も驚いた


ミクスドとは男女がペアになるダブルスのこと、それを今年のエキシビジョンマッチで行うというのか






日「…けど、やるにしても、男子と女子の出場者全員が出るわけじゃないですよね?」

跡「あぁ、もちろんだ。全員が出たら1日じゃ終わらねーからな


男子と女子から数名ずつ選出し、ペアを組む

そしてそのペア同士でトーナメントを開催する予定だ」

鳳「なるほど…」

向「じゃーそのミクスドには誰が出るんだ?
もう決まってんのか?」

跡「あぁ

女子の部長と適当にクジで選んだ」

滝「適当なんだ」



クス、と滝が笑う

忍足や長太郎も呆れ気味に笑うが、岳人と若は顔をしかめていた










跡「今からミクスドに出るメンバーを発表する

よく聞けよ




向日、滝、宍戸、日吉、鳳…」


宍「はぁ?!」

向「げ、マジかよ」

忍「なんや、俺はハズレかいな」





自分の名前が聞こえて、思わず机に手をついて立ち上がる


岳人や若は顔をしかめたままだ








宍「ちょ、っと待て跡部!

何で俺が女子と組まなきゃいけねーんだ!ミクスドなんかごめんだ!


そもそも女テニに知り合いなんかいねーぞ!!」

跡「それは他にも当てはまる奴がいるだろう


いいか、適当に引いたとはいえクジで決まったことだ

誰もが平等に当たる確率があった、もちろん俺にもな」

宍「だからって、俺らの意志はどこいったんだよ!
ミクスドの話を勝手に進めて、それを俺らに押し付けんな!」

跡「いつもは俺様がお前らを巻き込むとこが……、これは学校側からの企画だ、いつもとは違う

だからどちらにせよミクスドは行われるし、どちらにせよ誰かが選ばれてた


それがたまたまお前だった、それだけだ」

宍「………。」

跡「良いじゃねぇか、人より多く試合に出れるんだぞ

それに女子の出場者も、中々の曲者揃いだ

いい刺激になると思うぞ

男子とは違う面白さがあっちにはあるんだからな」

宍「………ちっ、言っても無駄か」

向「諦めろ宍戸、跡部と学校が相手なら勝ち目ねーよ」

跡「分かってんじゃねぇか



じゃ、次はペアを発表するぞ
これもクジで決まっている

これを見て、各自ペアの人間を確認しろ」




バサ、と跡部が数枚のプリントを机に広げる

そこにはトーナメント表やら名簿やらがたくさん並んでいた



今ミクスドに選抜されたメンバーが集まり、自分の相手を確認する








【宍戸 亮 - 瀬戸 雫】




自分の名前と、その横に並ぶ見知らぬ名前


誰だコイツ、と思わずつぶやくと、後ろから覗き込んでいた忍足が口を開いた


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