宍戸さん

□未来の同級生
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ミクスドもだいぶ完成し、エキシビジョンマッチでの手応えも感じている今日は、練習を少し早めに切り上げ、いつもより早い時間の電車に乗って神奈川に帰っている



宍戸と練習する度に、その楽しさを感じてしまう度に、立海を受験することが頭をよぎって胸が痛くなる

その痛みの理由にはっきり気づいてしまったが、それを自覚するには遅すぎた





もっと早くに出会っていれば、違かったかもしれないのに







そんなことを思いながら電車に揺られていればいつの間にか神奈川に着き、真っ直ぐには帰らずに少し歩く

最近は勉強とテニスの事しか考えていなかったから、たまには息抜きでもしたい



久しぶりに明るい時間帯を、ここら辺では珍しい氷帝の制服を着て歩いていると、目新しい店が増えていたりと発見があった








「雫」

『!』



店のショーウィンドウを見てどんな店かと様子を伺っていると、ふいに背中に声がかかる

ガラス越しに目があったその人を見て、あ、とこぼした






『蓮二、と、えーと?』



振り向いて声をかけてきた蓮二と、彼と一緒にいる男の子に気づいてとりあえず頭を下げる

彼と一緒に歩いていたのは、くせっ毛で目が大きい男の子だ






「柳先輩、氷帝の女子に知り合いいるんすか?」

「まぁな、彼女は俺のいとこなんだ」

「柳先輩のいとこ?!」

『初めまして、氷帝中3年生の瀬戸雫といいます

蓮二と仲が良い後輩って事は、君が噂に聞く2年生エースくんか』



ラケットバックを背負い直しそう問いかけると、エースくんは驚いたように大きな目をさらに大きく見開き、そうっす、と元気よく返事をしてくれた





「む、赤也と会うのは初めてだったか」

『うん、初めましてだね』

「切原赤也ッス!瀬戸さんもテニス部なんすか?」

『まぁね』



に、と自慢げに笑いかける

立海のレギュラーメンバーは蓮二から話に聞いているし、何度か大会も見に行っているから顔見知りは何人かいるが、切原くんは初めましてだ







『蓮二と切原くんは2人だけ?』

「いや、他のメンバーもいる
だが今はバラバラに行動しているな」

「他の先輩たちは自分のお目当のお店に行っちゃったんスよ、この後テニスしようって話してたのに」


ぷく、と頬を膨らませる切原くんに、蓮二が可愛がっているのも分かるな、と微笑ましく思いながら頷く

その時、蓮二たちと同じ制服を着た男の子が後ろから歩いてくるのが見えた





『その先輩たち、来たみたいだね』

「あー、やっと来た!幸村部長ー!」




ダダダっと後ろから歩いてくる男の子たちに向かって切原くんが一直線に駆け出していくのを見ていると、蓮二がふっと呆れたように笑う声が聞こえて来た





『元気な子だね、切原くん』

「俺としてはもう少し落ち着いて欲しいのだがな」


そう話しているうちに、切原くんが男の子数人を連れて戻って来た



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