宍戸さん
□お守り代わり
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立海入試を今週末に控えた、放課後
最近はもっぱら常連となった氷帝の図書室に行き、立海の過去問と睨めっこをしていた
テニスの練習ももちろん続けていたし、蓮二に勉強を見てもらったり、もちろん自分でも毎晩遅くまで勉強してる
これだけやれば、特待生になれる可能性は広がるとは分かっているものの、不安は拭えない
まだ気を抜けないとは分かっていても、連日の夜遅くまでの勉強がたたって、図書室で猛烈な睡魔に襲われた
そして気付けば、ぱたりと身体を机に伏していた
***
『………………!』
意識を失ってからどのくらい経っただろうか
はっと意識を取り戻し、勢いよく身体を起こす
すると、ばさ、と何かが肩から落ちるのに気付いた
『………あれ、氷帝ジャージ…』
図書室の床に落ちたそれは、見慣れた男子テニス部のジャージだった
私が寝ている間に、テニス部の誰かがかけてくれたということか
誰のだろうとジャージに名前がないかを確認する
だが名前はなかった
だがなんとなく、これが誰のものか分かった気がする
その時、私のいる学習スペースに足音が聞こえてきた
そちらを見れば、カウンターで貸し出し処理をしていた司書さんが私を見ていた
「そろそろ閉館時間よ、外も暗くなってるし、早く帰りなさい」
『わかりました
……あ、あの、ここに男の子来ませんでしたか?テニス部だと思うんですけど』
そう言って肩にかかっていたジャージを見せると、司書さんは「あぁ」と思い出したかのように口を開いた
「そう言えば一人、三年生の男の子が来たわよ、ラケットバック持ってたし
名前は分からないけど、短髪の子だったわ」
『………ありがとうございます、すぐ出ますね』
司書さんにお礼を言い、ジャージを畳んでカバンにしまい、勉強道具を片付けて図書室を出た
テニス部で短髪で、私にジャージを貸してくれるような間柄の奴なんて、一人しかいない
ばたばたと昇降口に向かって走る中で、鼓動が激しくなっている のがありありと分かる
気持ちをどう処理すれば良いのかわからなくて、とにかく駅まで走って向った
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