木手くん

□兄のような人
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そして迎えた夏休み

私は一人、飛行機に乗って神奈川へと帰ってきた





「よーう千秋、久しぶりだな!」

「千秋センパーイ!」


『ブン太!赤也!久しぶり!』




ガラガラとキャリーバッグを運びながら搭乗口から出ると、懐かしい顔が見える

すぐに駆け寄れば、いとこのブン太と、一緒に迎えにきてくれた赤也がいた






「千秋先輩変わんないッスね!」

『まだ半年も経ってないんだから、当たり前でしょ』

「それもそうっすね!

あ、キャリーバッグ重いっスよね。俺運びますよ」

『え、いいよそんな』

「千秋、赤也に運ばせとけって
一人でここまで来るのは疲れただろぃ?」



にこ、と笑う二人に、それじゃあ、と甘えさせてもらう

私のキャリーバッグを赤也が引き、ブン太と3人で立海大附属へと向かった








***




本来なら事務室などを通じて手続きをしないと立海大には入らないのだが、もともとここの生徒であるということから、特別にテニスコートまで通してもらえた


コートに着くと、今日はレギュラー達が自主練に来ているだけで、いつもより静かだった






「おーい!千秋が来たぞー!」




ブン太がコートに向かって声を上げると、コートの中でラリーをしていたみんなが手を止めて、振り返った



数ヶ月ぶりに見る面々に、思わず目頭が熱くなる






柳「ふむ、時間通りだな
赤也が付いていったことで遅れが出るかと思っていたが」

赤「先輩たちも早く会いたいだろうとと思って、我慢して普通に来たんすよ!」

真「五十嵐、元気そうで何よりだ」

幸「沖縄生活にはもう慣れたのかい?」

『うん、楽しくやってるよ』




春まで毎日のように顔を合わせていたみんなと、こうして久しぶりに話していると、引っ越す前に戻ったかのように感じる

心が落ち着いた



ブン太のいとこということでテニス部とは何かと縁があり、練習を手伝ったり大会を見に行ったりと、レギュラー達とは特に親しくしていた









「「「おかえり」」」







みんなのその一言が、嬉しかった









***





立海でレギュラー達の調整を見学し、そのままブン太の家に向かう

夏休み中はブン太の家でお世話になる予定だ




家に着き、おばさんやブン太の弟たちに挨拶をしてリラックスしていると、ブン太に「部屋に来い」と呼ばれた








『ブン太?』



パタン、とブン太の部屋の扉を閉め、中にいる彼を見る


机の椅子に座る彼は、少しだけ間を開けると、私を見た








「何かあったのか?」



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