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□プロローグ
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ちゃんもかわいいもんね。今日実はちーちゃんに一つお願いがあってきたんだ!」
一言一言が一々感に触る奴だ。というか今コイツは何と言った?お願い?コイツが私に?
嫌な予感がどんどん膨らむ私をよそに、一度束はにんじんの中に戻り、何かを両脇に抱えて再び出てきた。
「実はこの二人をIS学園に保護して貰いたいんだ。」
何かというのは語弊があっただろう。正確には「何か」ではなく「誰か」だ。
束が抱えていたのは見慣れぬ制服を着た高校生ぐらいの男子と中学生(小学生?)ぐらいの女子だった。どうやら気絶しているらしい。
ニコニコと笑顔で首を傾げる束、それに対して私は十秒ほどゆっくり思考して、ようやく一つの行動を起こせた。
『ゴッツン!!』
そんな擬音の良く似合う、気持ちの良いゲンコツを。
「痛ったーー!いきなり何をするのちーちゃん!?」
「うるさい!何を考えているんだお前は!というか誰なんだそいつらは。」
「この子達はね、さっき私が気絶してるのを拾ったんだ。それでしらべたら、どの国にも国籍がないんだよ!?」
「で、それを何故IS学園に保護させて欲しいんだ?戸籍のない裏社会の人間なんて、世界には山ほど存在するはずだぞ