商品2

□It loves too much..
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俺の伸ばした腕をあの人に拒絶された

「ごめん剣城」

そういってあの日、あの人は俺のもとから逃げ出した。








「天馬、そっちいったぞ!」

校庭を走り回る部活のメンバーを見ながら俺はベンチに座っていた。

あの日・・恋人だと思っていた霧野先輩に拒絶をされてから一週間がたった。

不思議なことにあの日以来霧野先輩を見ていない。

神童先輩曰く「霧野はちょっと風邪をこじらせていて療養中だ」だそうだ。

俺としては、どんな顔をして合えばいいのかわからなかったからありがたい。

だが少し複雑な気持ちだ。


「剣城」

ベンチに座ってボーッと考えていたら
歩いてきた神童先輩に名前を呼ばれた。

「なんですか?」

「悪いんだが、このプリントを霧野に届けてくれないか?」

「は?」

ちょっと待て、今この人なんて言った?

「だからな、このプリントを「待って下さい!」ん?」

冗談じゃない。

なんでこんな顔を合わせずらい時に
会いにいかなくてはならないのだろうか。

そもそも霧野先輩だって俺なんかに会いたくないはずだ。

「お断りします。プリントなら神童先輩が届ければいいじゃないですか」

ぶっきらぼうに俺が返すと神童先輩はニッコリと笑った。

・・・なんか怖い。

「そうしたいのはやまやまなんだが、
誰かさんのせいで霧野は人に会いたくないらしいんだ。」

・・・怖い。笑顔の中に怒りが含まれているのが見なくてもわかる。
このまま断ったら・・・想像するだけで背筋に悪寒が走る。

「・・・分かりました。」

「そうか!ならコレを頼むな」

俺にプリントを渡すとさっきまでの怒りのオーラが嘘のような爽やかな笑顔で帰って行った。
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