□長編小説(少年陰陽師、現パロ
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闇だった。
世界の闇の部分をすべて溶かし込んだような闇。
そしてその中に、2つの影があった。
赤く染まったぼろぼろの狩衣をまとった青年がいう。
「ごめん。俺、もうだめかも。」
その言葉の壮絶さを感じさせない微笑を浮かべて。
普通なら致命傷であるだろう傷を肩に負った青年が動揺しながら答える。
「そんなことを、言うな。
くそっ…。俺がもっと動けていれば…。」
そう言ってごほりと血を吐き、がくりと膝をつく。
「…ー蓮のせいじゃないよ。俺が力不足だから。」
そう言って青年は笑う。
爽やかな、誰にも負けない美しい笑みを。
「人にはさ…、輪廻、っていうのがあるんだって。
 俺は探せないから…、探してね。
 また、ここに戻ってくるから―――――
 
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