≪紅花≫
□3話
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芹沢さんたちが殺されてから数ヶ月が過ぎた。
芹沢さんと重臣の平山さん、それに芹沢さんの妾であるお梅さんが新撰組によって殺された。また、平間さんや糸里ちゃん、吉栄ちゃんは逃げたが、どうなったかは分からない
元々新撰組は、芹沢さんの粛清を上から頼まれていたみたいだった。
京の人々は、これで荒くれが減ったと喜んでいた。
……けれど。
私は少し煮え切らない思いでいた。
いつだったか、藤堂さんが話してくれた。
『芹沢さんはあんなだけど、俺はそれはそれで尊敬してたな』
『何かさ、雰囲気が違うんだよ。浪士組が出動したときも、場数を踏んでるって直ぐに分かるし』
『俺らって田舎侍って言われるけど否定出来ねぇな…でも芹沢さんは違う。あの人は本物の侍だ。それを近藤さんや土方さんもよく分かってるんだ』
………………
私は、複雑な想いがした。
そんなある日。
『咲はん、ちょっとえぇ?』
菖浦さんに呼び止められる。
菖浦さんの部屋に行くと、彼女は形のいい眉を寄せた。
『実はな、花里がちぃとばかり塞ぎ込んではるんよ、咲はんは理由が分かるやろか?』