大空が
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「骸、お前のことだ。何の用があるのかだいたい見当がついてるんじゃないか?」
出てきた骸を見据えてツナが言った。骸はいつもと違うツナの様子に少し首を傾げながらもはっきりと言う。
「もちろんです。大方君が訪ねてきたのは今、並盛中で噂になってることと関係あるのでしょう」
骸の言葉にツナはコクンっと頷く。そして、27と数字の入った手袋をいそいそとはめた。
「うん、……それで骸はその噂どう思う?」
「…………あ、あのボンゴレ?」
「何?」
ツナは骸の言葉に首を傾げる。骸は目をパチクリしながら恐る恐る聞いた。
「な、何故、死ぬ気になってるのですか?しかも炎まで」
骸の言った通り、ツナは額に死ぬ気の炎を灯しグローブからゴォゴォっと綺麗なオレンジ色の炎をそれはもう勢いよく灯しているのだ。
ツナの後ろには何故か魔王のようなどす黒い何かがいた。
骸はゴクリとツナの言葉を待った。
「少しでも間違ったこと言った時に、ね」
(何が、“ね”何ですかぁぁあああ!!)
骸は心の中で叫んだ。本当は口に出して叫びたかったのだが、下手に口を出してしまえばどうなるか分からない。
「ア、アルコバレーノ。これは一体」
骸の助けを求めるような視線と声にリボーンはボルサリーノの鍔を下げた。
そして、ボソッと小さく呟く。
「残念だが、これがツナの本性だぞ」
「ッ!?」
リボーンの言葉に骸は目を見開いて驚いた。それはそうだろう、普段のツナとはまるっきり違うのだから
「なんだよ、残念って……それで?骸、質問の答えは?(早く言えやゴラ)」
リボーンの言葉にぷぅっと頬を膨らますツナ。
しかし、すぐに目を微かに細めて骸を見た。
骸は、ツナの副音が聞こえた気がしビクッと身体を震わした。そして、心臓をばくんばくん高らかせながら慎重に正解の言葉を探した。
「そ、そうですね。ぼ、僕は実にく、くだらない噂だと思います。あの女が嘘をついて晴の守護者の妹をはめてるのは一目瞭然ですよ」
噂を否定した瞬間、ツナの炎が和らいだのを見て骸は自分の考えを淡々と述べた。
とりあえず正解の言葉を言ったようだ。
「ああ、良かった。もし骸が噂を信じてたら……」
ツナは何故かどうするのかは最後まで言わなかった。しかし、それがより骸の恐怖をかきたてる。
「じゃあ、協力してくれるよな」
「へ?」
ツナの突然の言葉に骸はまの抜けた声を上げた。
そんな骸にツナは黒く微笑んだ。
「骸、“へ?”じゃなくてイエスかはい、だろ」
「は、はい」
骸は拒否権を一切持つことを禁じられ、逆らうことも出来ず協力者になった。
余談だが、あまりにも骸を不憫に思ったリボーンが恐る恐るツナに言い、報酬としてチェーロのコネを使い骸の身体を復讐者の檻から出すことになった。