大空の
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その次の日姫香は、ツナの眼鏡を取ろうと行動に移した。
どうやら気付いてしまうと無性にツナの素顔が気になってしかたがないようだ。
「海人兄さん!!作戦の内容理解した?」
姫香は、海人に確認するように聞いた。しかし、海人は眉を寄せてきっぱり言う。
「なぁ、姫香。俺沢田の顔に興味ないんだけど」
海人の言葉に姫香は少し眉を寄せた。今回の作戦は二人でやらないと意味がないのだ。
「ダメよ。海人兄さん!!昨日おかずの海老フライ一つあげたじゃない」
「そ、そうだけど……」
海人は姫香に言われて渋々といった感じで納得した。っと言うか、海老フライ一つで買収される海人は如何なものだろうか……
とりあえず、相沢兄妹は教室にツナが来ると作戦を開始した。
相沢兄妹の二人はにやにや笑いながらツナの机の前へと来る。
何故か海人がたっぷりコーラが入ったペットボトルを持っている。
「沢田くん。実は海人兄さん凄いのよ!!コーラ一気飲み出来るの」
姫香は今までのことがなかったかのように何故かフレンドリーで話しかけてきた。
ツナはそんな姫香にまるで珍獣を見るような視線を向ける。
ツナが視線を向けると姫香は勘違いしたのかにんまりと笑った。
(うふふ、沢田くんってば興味深々ね)
そして、海人へと合図をだすようにパチンとウインクをした。海人はそのウインクにコクンっと頷きペットボトルを高く持ち上げる。
「よし、沢田!!しっかり見とけよ」
海人はそういうとペットボトルの蓋を開け勢いよく飲みだした。
双子の作戦……それはツナが真剣にコーラ一気飲みを見ている隙を見計らって眼鏡を取ってしまおうっというちんけな作戦である。
姫香は海人が飲み始めると眼鏡を取るタイミングを計りだした。
しかし、この作戦は最悪な形で失敗に終わった。
海人はコーラ一気飲み出来ずにむせてしまったのだ。
そして、あろうことかツナ目掛けてコーラを吹き出す。
「ッ!?」
双子を馬鹿にして見ていたせいかツナは避けることが出来ず、頭からびっしょりと海人の噴き出したコーラを被ってしまった。
「うぇっげほげほっ」
海人はむせてゴホゴホと咳き込む。
姫香は目をパチクリして、海人へと駆け寄った。
「海人兄さん!!大丈夫?」
「っげほっ、な、なんとか……」
海人は落ち着いたのか、姫香に応えた。そして、自分の前に人が立ってることに気付き顔をあげる。