捧/貰
□おかえりなさい・ただいま
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<おかえりなさい>
殺しが好きだとか血を浴びるのが気持ちがいいとか悲鳴を聞くのが心地いいとかそんな理由はない
ただ殺す
ただこのツルハシを振るだけ
やる理由なんかないからやめる理由もない
何かしら理由があればやめれたんだろう
そう思いながらも俺は今日もツルハシを振るいながら倒れていく死体を見る
その死体があいつに似てた
あいつ……ゴスフェに
それが俺に一瞬の隙を生んだんだ
ぽたり、と地面に俺の血が垂れその近くに別の男が倒れていた
あぁ、俺は刺されたのか
そう他人事のように思いながら自分の脇腹に刺さったナイフを抜き捨てそこを後にした
目の前が朦朧とする
今日はしくじったな
そう思いながら小さく舌打ちをする
ジクジクと痛む脇腹を押さえながら歩く
今俺はどこに向かって歩いているのか……それは解らない
そんな俺の前にこいつはいつも現れる
両手を広げて血まみれな俺の体を抱き締める
そんなこいつの気まぐれを勘違いしてしまいそうな自分がいる
こいつに他意はない……ただの気まぐれだ
頭で解ってはいるが期待してしまう自分がいる
いつまで俺が俺を抑えれるか解らない
だからこういうのはやめろ
そう言い掛けていつもやめる
あいつの言葉を聞くと全てがどうでも良くなる
「先輩、おかえりなさい」