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□君がため
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忍術学園で一番怖い先輩って誰だと思う?

そりゃ、中在家長次先輩じゃないの。笑うと怖いもの。

僕は七松小平太先輩。体育委員会は大変だよね。

うぅん、僕は平滝夜叉丸先輩かなぁ。……話長いもん。

断然潮江文次郎先輩でしょ。地獄の委員長だよ。

……みんな甘い。本当に怖いのはどう考えても六年は組の常光寺弥助先輩じゃないか!無表情で怖い人!

えー、そんな人いた?

いたよ、委員会に入っていない、覆面の……。

・・・・
・・・
・・


「おい、弥助」
「……」
「弥助?」
「…………」
「あ、寝てる」

文次郎と弥助を訪ねて部屋に(とはいっても自分の部屋でもあるけれど)行ってみれば、珍しく身じろぎもせずに爆睡する弥助……見ようによっては倒れている弥助がいた。
文次郎は弥助を何やら説教しに、僕は弥助にそれとは別で用事があったのだけど。

「……また貴様のせいで一人自主退学に追い込まれたのだがな」
「あれ、止しとくの?」
「どうせ反省しないならまともに起きているときにすべきだからな」
「……確かに無駄だけど……それじゃ結局意味ないんじゃ……」
「伊作、分かっている。だが言わないわけにはいくまい……」

本当に弥助がこんなに爆睡しているなんて珍しい。顔色は悪くはないから大丈夫だと思うけど、流石に二人も近くにいて、しかも喋ってすらいるのに目を覚まさないなんて相当だ。それすら説教したいのか文次郎がこめかみをぴくりとさせた。

「仕方ない、明日また来る」
「そう」

部屋から出て行ってしまった文次郎が引き戸を閉めた。パタンと小さな音がして部屋が暗くなる。もう夜だから、持っていた蝋燭を文机の上において光を確保した。


この部屋は三人部屋。僕こと善法寺伊作と食満留三郎と……この常光寺弥助の六年は組の部屋。六年生では唯一の三人部屋、かな。狭いとはあまり思わないけれど。一年生だったら割と普通だから。

……、それにしても布団も敷かずに弥助が爆睡しているなんて、ね。たまにあるんだけど珍しい。理由は知らないけど、多分体力を使い果たして力尽きてるだけだろうな……。僕だったら弥助みたいに何事もなく部屋で寝れない、けどね。不運だから。
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