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□ダブルと兵士。
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「……」
『……』

目の前の巨人を見据える。奇行種ではないが、大きい。周りには仲間の死体と、さっき倒した巨人の蒸気。……俺たちの班は、俺たちを覗いて絶滅した。班長も、仲の良かった友達も。
俺は決して強くない。三度、壁外調査で生き延びたがそれは運だった。訓練兵だった時の成績は中の下だったぐらいだ。

……だが。俺は、この場で死ぬ気が全くしない。

『おうおう。僕の仲間を殺した巨人さんよう?即刻死ねや』

……俺は強くない。俺の能力は強くないんだ、少なくとも技術は。

俺は、二重人格者だ。原因は分からないが。

主人格である俺は強くないし、能力に秀でた物は無い。特に目立つ駄目な部分もないが。しかし、自ら副人格と言う、もう一人の俺。あいつは違う。

戦闘狂ではない。
巨人狂いでもない。
憎しみをぶつけているわけでもない。

全てを超える圧倒的な、センス。
それがもう一人の俺の持つ、とてつもない物だった。

・・・・
・・・
・・


調査兵団所属、ウォールローゼ……いや詳しい出身なんてどうでもいいだろう。俺は心臓を捧げた兵士、ユリイル・クィヴァーだ。……と表向きにはなっている。
実際には俺は名前だけ貸していて殆ど戦闘で肉体を動かしちゃいない。副人格だとか言う割りにはガンガン俺の体を使って今現在はほぼ乗っ取っている、ソルヴァこそが最早俺だ。ソルヴァは俺が訓練兵団に居たときに不意に目を覚ました人格だ。とは言っても俺は目立たない兵士だったもんでスイッチが入らない限り無言を押し通すソルヴァがバレることはなかったのだが。ソルヴァは命の危険の時に俺の体を動かす。……つまり壁外調査で俺はぼんやりすれば良いだけなのだ。むしろ何か考えた方がソルヴァに邪魔だから。

「……合流しよう」
『了解』

・・・・
更新頻度・亀がキレるレベル
 

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