水の旋律曲

□一章‐偽りと真実
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「ヴァン師匠!!」


席についたヴァンを見つけて、ルークが大声で呼ぶ。


……あれがレプリカ…。創り物の人間…?

乱暴に座ったり我が儘を言ったり……、まるで本物のようだ。というか、そっくりすぎるだろう、アッシュに。


これがレプリカなら、世界を作り替えても何も変わらないだろう。ただ預言がなくなるだけ。












「師匠、それ誰だ?」


暫くヴァンに会えないことに苛つきながら、私に視線を向けてきた。


「彼女は私の部下だ。
ルナ」


「お初にお目にかかります、ルーク様。ルナ・シェルザード奏士であります。」


促されるままに挨拶をしたが、ふーんと返されるだけだった。



その後は、ヴァンがルークに稽古をつけてやると言ったので付いて行かずに応接間で待つことにした。









「ヴァン謡将が側役を連れてきたのは貴女が初めてですね。」


シュザンヌがルナのことを話題に公爵に話し掛けるが、ガシャッと音を立てて兵が倒れたお陰で続かなかった。





「何事です!?」


連鎖のように倒れてゆく白光騎士団。ルナは譜術で傷を負ったのかと確認すれば、眠っているだけのようで安心した。

しかし、それがいけなかった。中庭に通じる窓から目映い光が発せられると、ヴァンが大きく私を呼ぶ声が聞こえた。




中庭にも数人倒れていたがヴァンに呼ばれている。

すぐさま駆けつけると、そこに居るはずのルークの姿が見当たらない。


「謡将閣下……ルーク様は…?」






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