リリカルなのは スクライア
□第三話 リリスの服選び
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―――クラナガン―――
「セロ、ここは?」
「ここはクラナガン、ミッドチルダの首都だ」
リリスはグランガンを見まわしていた。
どうやら、よっぽど珍しいようだな。
「おい、お前達、今はやてに連絡入れたから勝手に動くなよ」
「はーい」
『言われなくても、子供じゃないのですから。勝手にどっかに行きませんよ。それにしても、子供扱いされたのが不服なのはわかりますが、いつまでも不機嫌なのはどうかと思いますよ。ヴィータ嬢』
ヴィータの奴、リリスに頭なでやられて、子供扱いされたのがよっぽど不服なのか機嫌悪そうだ。
まぁ、今のさらにブレイブの一言に不機嫌になったようだけど。
見た目子供なんだし、初対面の相手の子供扱いくらいはして欲しいよなぁ。
そう言うところがガキなんだよ。
「何か言ったか?」
「いや、別に?」
流石がヴォルケンリッターするどいな。
って、この場合は関係ないか。
くいくい
「ん、どうしただ? リリス」
「あれ何?」
リリスが指さした方を見てるとそこにあったのは……
自販機?
何で?
『教えてやれ、今のリリスは自身の名前以外の記憶がないんだ。あんなものでも珍しいんだ」
俺とヴィータがポカンとしているとルシファーがそう告げた。
マジかよ。
「あれは自動販売機って言って飲み物を買う機械だ」
「へぇ、じゃああれは?」
今度はバスか。
まかさ、これはやてさんが来るまで続くのか?
20分後
黒い車が俺達の前に止まり助手席からはやてさんとリィンが降りて来た。
「ごめん、道が込んでいて遅くなった。その子が連絡にあった子か?」
「えぇ、まぁ、そうなります」
「初めまして、リリス・レイスです」
「そうか。リリスちゃんか。って、二人とも何疲れてるんや? ブレイブハートも?」
「いえ、別に」
「何でもねぇよ」
『お気になさらずに』
「そうか。ならええんやけど」
はやてさんが来るまでの間に聞かれた物はテレビ、電車、犬、猫、航空魔導師、そして、商業広告用の飛行船など。
正直疲れた。
特に商業広告用の飛行船。
「うちは、八神はやてや。車を運転してたのがシグナム、そんでこっちが……」
「リィンです」
はやてさんは自分達の紹介をした。
それにしても、相変わらずリィンはちっこいなぁ。
「そんで、セロの腰にささっているのが、この子と同様に連絡にあったルシファーやっけ」
『あぁ、ルシファーだ」
「まぁ、立ち話もなんやし、車の中行こうか」
「はい。行くぞ、リリス」
「うん」
俺が声をかけるとさっきまでリィンから、視線を移しこちらにテトテトと歩いて来て俺の手を握った。
「おや、おや、二人とも随分と仲がええな」
はやてさんはこちらを見てニヤニヤと笑っていた。
この人の目の前でこんなことやればこうなるよなぁ。
「べっ、別にそんなじゃ」
「そうかぁ。あたしとクラナガンに来た時にはそうだったじゃないか」
ヴィータはニヤニヤと笑ってノッテきた。
リリスとブレイブに子供扱いされた仕返しかぁ。
俺完璧に巻き添えじゃん。
まぁ、心の中でしたけど。
「とっ、とにかく、車に乗るぞ」
俺はリリスと車に乗りこんだ。
「うわぁ。顔真っ赤です」
リィンまでぇ!
リリスの奴何をしたぁ。
いや、別に俺自身心当たりがない訳じゃないが。
「すまんな。主のあれは今に始まった事ではないできれば気にしないでくれ」
「別にいいですよ。気にしてませんから」
車に乗るとシグナムさんが申し訳なそうに謝って来た。
まぁ、はやてさんはともかくヴィータとリィンには俺自身も身に覚えがあるし。
続けて、はやてさん、ヴィータ、リィンも乗って来た。
ってか、はやてさんが横に、何かやな予感。
「そう言えば、ヴィータ、偉くタイミング良く来た何で?」
「教導の遠征の帰りに、いきなり魔力反応が大量に出て来たからな、生徒を先に帰らしてあたしだけ来たんだよ」
あぁ、そう言えば蠍(さそり)もそうだったけど、そう言えば連中にも魔力流れていたな。
変形した時や光線撃った時とか。
「にしても、リリスの服ボロボロやな」
「それに珍しい服ですね」
はやてさんとリィンはリリスの服を珍しがっていた。
まぁ、確かに珍しいよなこの服は?
「そう。なら、魔力で構成したものだからいつでも消せるよ」
「なっ!」
リリスがそう言うと服が光の粒子になり消えていった。
ってか、来てないのかよ!
下ぁ!
「見ちゃあかん!」
「わかってますよ」
俺は慌てて窓の外に顔向けた。
一瞬だったけど良い体していたなぁ。
って、何考えているんだ!? 俺!
「取り敢えず、服買わんとなぁ」
『そうですね』
『はぁ、記憶と一緒に羞恥心も失ったか』
その光景にルシファー一人が冷静に呆れていた。
―――大手デパート・服売り場―――
取り敢えず、リリスが服の修復を終えた俺達はデパートの服屋に移動した。
そんで、今現在はリリスは服の方ははやてさん達が選んくれた服の試着をしている。
ちなみに服の代金は俺が支払うことにした。
本来ならはやてさんが支払うと言っていたがそこまで世話になる訳行かないから自分で支払う事にした。
『それにしても、ほんとにいいんですか? マスター?』
「まぁ、これくらいはな。まだ、貯金あるし」
『ところで、一つ聞きたいのが、今の夜天の主は騎士達をどう見てる?』
「どう見てるって、大事な家族って感じだけど」
『えぇ、他者から見てもともて仲の良い家族ですよ』
『そうか、それは良かった。夜天の親も浮かばれる』
ルシファーは俺の事を聞いて酷く安心していた。
どうしたんだ? こいつ?
「おーい、取り敢えず、一着目終わったでぇ」
おっ、どうやら一着目終わったみいだな。
「では、一着目はシグナムが選んだ服や」
「こっ、これは!」
何で、チャイナ!?
『シグナム殿、これはいったい?』
「ん、駄目だったか? 動きやすそうだったから選んだのだが」
あぁ、シグナムさんのセレクトか。
なんか納得いった。
「いや、駄目ってことないけど日常の服ですよ」
「せやな。これは完璧にコスプレやなぁ。じゃ、次はうちやな」
次ははやてさんかぁ。
何だぁ? この不安は!?
「似合うかな?」
試着を終えたリリスがカーテンを開いた。
次に着ていたのは……
「今度はメイド服!?」
『夜天の主よ。これはど言うことだ?』
「いや、目に入ったからつい」
「いやいや、ついじゃないですよ!」
と言うかここ本当に大手デパートの服屋!?
何か、不安になって来た!
「あっ、やっぱり、じゃあ最後はヴィータ&リィンや」
今度で最後か。
まともなの来い!
マジで頼むかな。
「どうかなぁ?」
リリスは今度は青いロングスカートに白い長袖のシャツで出て来た。
「良かった! 一番まともだ!」
『それにもとの素材が良い分良く似合ってますね』
『あぁ、これ決定だな』
ほんと良かった。最後の二人が一番まともだ。
「それじゃ、これで決定ですね」
「そんじゃ、店員さぁーん」
二人は何か勝ち誇った顔で店員を呼んだ。
この人たち勝負してな。
「彼女さんへのプレゼントですか?」
「あっ、いえ、違います」
『まぁ、プレゼントには変わりませんけどね』
『あぁ、確かにな』
「はぁ」
店員は俺とデバイス2機の答えを聞いて奇怪(きかい)な顔していた。
あぁ、考えてなかった。
男が女性にプレゼントを買うと言ったら、そうなるよなぁ。
と言うか、この人数なら、家族って言う選択肢はなかったのか!?
店員さん!
くいくい
「ん? どうした? リリス」
また、質問ラッシュか!?
「似合ってる?」
「あぁ、似合ってるよ」
俺の答えを聞いたリリスは偉くご機嫌な笑みを浮かべた。