リリカルなのは スクライア

□第九話 アンノウン(上)
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地下駐車場にリリスを追って到着したのはいいんだけど……

「バルディッシュ!」

『イエ・サー』

 これ、俺いらなくね?

 既にフェイトさんによって結構な数、破壊されているし。

『ダナァ!』

 あっ、隊長機っぽいの左腕落ちた。

「なぁ、ルシファー、帰っていいか?」

『なんでだ?』

「なんでって……どう考えてもフェイトさんの圧勝でしょ」

 セロはルシファーの問いに対してセロは、あたりの状況を指さして答える。

 ブレストはレーザーを撃ち、腕を振り下ろすが、それは全てフェイトに当たることはなく全てスピードが活かした戦いを得意とする彼女に全て避けられ回避されてしまう。

 それでもブレストも、その部下にあたる機械たちもセンサーでサーチし、反撃と防御を行うが、追いつくことができない。

 もともと、ブレストの構造として、外見通り防御力や火力に重点を置いた造りとなっている。
 そのためにスピードは無く頑強な装甲で全身はおおわれている。だから、例え防御が置くたとしても、良くて小破、悪くても大破がいいところだ。
 だが、それは相手が並みの魔導師の場合のみに該当する。
 相手は執務官、しかもその中でも最高クラスの執務官、フェイト・T・ハロウオンなのだ誰が、誰がどう考えても負けはない。

『確かに、彼女は速いし強い。だが、それでけでは奴は倒せんぞ』

 誰もが勝利が確信するよな状況の中、ルシファーは冷静な態度で口にする。
 あまりにも圧勝ぶりに、することもなくほぼ観戦モードで流れ弾と、時たまに雑魚を相手にしているだけだのそれを聞いてあきれ顔で聞き流し、再度観戦を始める。
 何と言う職務怠慢!!
 それでも、ティアナやスバル、ヴァイスなり元六課の面々が、ちゃんと戦っているの救いだ。
 そんな大半が観戦モードな武装局員達を見て誰かが、小声でポツリと「これが、民を守る人間のとる態度ですか」と呟く。
 しかし、それも戦いに起きる騒音で聞き取れる事が出来ない。

「どう言う意味? ルシファー」
『あぁ、リリスは忘れてるんだったな。あいつの能力を……」 
 リリスの言葉を見て、ルシファーは他の人間と接する時とは違う優しい声色になる。
 彼にとっては現・マスターのセロよりも大事なのだろう。

『奴の長所は、防御や火力だけではなく、まだあるだよ。あいつだけの能力がな……ザラックにも他の馬鹿2人にはないやっかいな能力が』

 ルシファーは忌々しそうに語る。

『有機生命体風情がなめるなぁ!!』

 ブレストは怒鳴り声をあげ、破損個所から大量のケーブルを伸ばす。
 それはブレストだけではなく配下の機体達もである。
 そのケーブルはあちらこらに散らばる。

「なっ、なんだぁ!?」
 セロは飛んでくるケーブルに唖然としていた。
 
 ケーブルは駐車されている車や機能を停止した機体へと伸び、それらにはり付て行く。
 そこから、パーツや装甲をどんどん引き剥がし。
 パーツや装甲引き剥がしたケーブルは、もとの機体へと戻り、パーツや装甲をくみ上げ破損個所へと張り付けて行った。

『ダナァ』
 ブレストは声をあげる。
 ケーブルで回収したパーツや装甲によってダメージが回復していた。
 とは言え、パーツや装甲もその辺集めたものため、色にまばらが出ている。

「なっ!?」
「あんなのありかよ」
 セロやフェイト、ここにいる面々はあの光景を見て唖然とする。
 たった一機ルシファーを除き……

「なら、もう一度壊せば」
『フォトンランサー』

 ブレストにめがけてフォトンランサーを放つが……

『無断だな』
 あたる寸前で、全段消滅した。
 ブレストの体の周りには円形のフィールドが張られていた。

「バリア!?」

 その公開を見てフェイトは、驚く。
 この場に他の面々も同義だ。
 先程まではそんな能力はんなかったのだから。

『やっぱり追加武装していたか』
 その光景を見てルシファーのみは、冷静だった。 
「知っているのか!? ルシファー!!」
『まぁな。あいつの大砲も最初はレーザーではなく、ミサイル式のものだった。だが、戦えば、戦うほど、装備を変え自らを強化し続けてきた。幾度となくな」
 ルシファー自体、ブレスト達と同じ時代に造られ、戦ってきたのだ。
 だから、そのたびに見てきたのだろう
 そう……何度も何度も。それこそ考えるのが、馬鹿らしくなる位に!!
 それを聞いたセロは「マジかよ」と呟いた。

『どうすれば、いいのですか?』
『本来なら、リリスの強制停止コマンドが妥当なんだが……』
 ブレイブハートの質問に対してルシファーは言い淀む。
 セロは一瞬、リリスは状況を理解できていないのか首をかしげる。
 今現在、記憶を失った彼女にそれを期待するのは無理だろう。

『しかも、ここには補給や補強なパーツも大量にあるしな』
 ルシファーは忌々しそう告げる。
 この地下駐車場と言うのは、まさに天地と言える場所だ。
 ここにあるくまから、好きなだけパーツを取れるのだから。
 
―――――

「つまるところはここにある車を壊せばいい話ですけどねっ!!」
 そんな声ともに1台の車が両断された。
 それを見た局員の1人が人間の声にならない悲鳴を上げた。
 今、破壊された車は彼のものなのだろう

「ちょっと、デミル!! なにやってるの」
「なにって、敵の補強できそうなもの破壊しているんですよ」
 ティアナに対してデミルはそう答えると、デバイスから魔力弾を出して車にぶつけ始める。
 魔力弾をぶつけられた車は次々と爆散していく。
 続けて近くにあった別の車を斬りつける。
 その時の顔は薄く薄くだが笑顔を受けべていた。
 それとは、対照的に車をここに止めている局員達はたまったもんじゃない。

「何と言うか、楽しそうね?」
「まぁ、嫌いなものを壊しているのんですから、楽しいに決まっているんじゃないですか」
 ティアナにそう告げるとデミルはまた一台車を破壊した。

――――

「おいおい、なんだよあの局員……車持っている局員がショックのあまり固まっちゃてるじゃん」
 セロは敵ではなく車を破壊して行くデミルの行動を見て唖然としていた。

『そうか。手としては、間違っていまい』
 確かにルシファーの言うとおり敵の補給や補強を絶ってしまうのは、一つである。
 とは言え、車を持っている局員とにってはたまったもんじゃない。
 自身の愛車が破壊されて行くのだから。

『強制停止以外に手はないのですか? このまま車を持っている局員の精神が持ちません』
『ん、あるにはあるぞ』
 ブレイブハートの質問に対してやにあっさりと答えた。
 と言うか、あるなあるで早く言いなさい!!
 既にデミルによって車が半数近く破壊されている。
 しかも手として間違っていないため、上官であるティアナ止める事が出来ない。

『単純だ。パーツを取り込むにも一度、解体しなけばならない。ならば、粉々か、破損状態が少ない状態で機能停止にすればいい』
「可能なのか?」
 ルシファーの言葉に対して、セロはブレスト達を見ながら尋ねる。
 ブレスト達は全員頑丈そうで簡単に粉々にも、破損が少ない状態で機能停止にできる状態ではない。
 しかも隊長格のブレストのに至ってはバリアを追加し防御をより強固なものにしている。

『可能だ。ブレスト達の中枢回路は全て背中にある。それは強化されても変わらん。だから、そこを破壊すれば一発で止まる』
 ルシファーは簡単にブレスト達、タンクの弱点を告げる。
 口で告げてしまえば、簡単だが実際の所そう簡単な訳ではない。
 あの頑丈なから背中にある中枢回路だけを狙わなけらばないのだから。

『小僧、俺の指示に従え! そうすれば、簡単に中枢回路を壊せるぞ!!』
 ルシファーは現・マスターでもあるに関わらずセロに命令口調で語りかけてきた。
 セロは、フェイトとブレストとの戦い、デミルによる車への被害に目を写す。
 それから……
「はぁ、失敗するなよ」
 一言だけ、そう告げると一気に走りだす。

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