時空の夢 外伝

□闇は太陽に焦がれて
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浜辺の砂に半ば埋もれた機械を、ルッカは苦労して掘り出した。
海に長期間浸かっていても輝きを失わないその物体は、恐らくは黒鳥号のような搭乗型飛行機械の武装の一部だったのだろう、長く太い砲身に照準器らしきものとエネルギーパックが付属していた。
「これは…使えるわね、エネルギーパックは太陽石の原理を応用しているのかしら?照準器も…私たちの時代にはない設計だわ」
そんな風に一人ごち、ルッカはその銃砲から砂をはたき落とした。

氷河期が終わりを告げた古代では、氷に覆われていた海面が姿を見せ、太陽の光が雲を縫って届くようになった。
午後の金色の陽射しが、海岸側に停められたシルバードを眩く輝かせている。
ルッカはシルバードのハッチを開け、後部座席の床に打ち上げられていた銃砲を放り出した。
古代ジール王国が崩壊し、クロノたちがラヴォスを倒して年単位の時間が過ぎた。
少女だったルッカは大人になり、王位を継いだマールとその夫となったクロノの後押しで、ガルディア王立科学技術研究所の主任研究員に収まっている。目下の課題は、古代ジール文明の解明と再現だ。
そのためには、現代よりも古代に来てジール文明の遺産を漁るのが早道。
かくしてルッカは、古代の浜辺で打ち上げられたジールの遺産を拾い集めているのだが。

「あ、これも使えるわね」
恐らく魔法で動くロボット…ゴーレムの一部らしい突起部を砂の中に見付けて、ルッカは走り寄ろうとして――ふと、立ち止まった。
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