走ってきて、少し疲れた。ずっと抱えていたけどこの花束、意外と重い。
だけどこれも幸せの重みだと思えば、ありがたい限りだ。

「あ、いたいた。さっき神田があなたに渡されたって白い花を持ってたわ」
「リナリー! そう、さっき神田に無理矢理渡した。情報早いね」

リナリーは「神田に花なんて怖くて誰も渡せないのに」と苦笑いを浮かべている。
言われてみれば、そうかもしれない。
私も一方的に渡してしまったけれど、迷惑だったかな。あとで会ったらさりげなく謝っておこう。

「ところで、何か用? 探してたみたいな言い方だったけど」
「そうだった! はい、これ。よかったら使って?」

手渡されたのは硝子できた大きめの花瓶。
確かに部屋へ持ち帰ったあと、どうやって保存するか悩んでいた。

「貰っていいの?」
「もちろん。あげるために持ってきたんだから」
「そっか。ありがとう、リナリー」

花瓶の他にも手には書類やボードが抱えられていた。
忙しそうなのに、どうやらその合間を縫って探してくれていたらしい。

「どういたしまして。それじゃあ、私はもうすぐ任務だから行くね」
「うん、気を付けて。いってらっしゃい」

可憐に走り去っていくリナリーの後ろ姿を見送って、私も歩き出した。




【ダリア:W リナリー編】




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