ちょっと長めのお話
□お正月〜おせちを食べよう!〜
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「すごいな…この里芋ニアみたいだ……」
フォークで煮物の中の里芋をグサグサと刺しながらメロはポソリと呟いた。
その様子に少しだけ顔を顰めたニアも負けじと対抗をする。
「……では、このきんぴらごぼうはメロです」
「何だと?!」
二人の争いを誰も止めることはしない。
いつものことだし…聞いてて面白いから。
「ねーねー、俺は?」
マットの問いかけにメロのパンチを片手で受け止めながらニアがこたえた。
「煮物のニンジンですね」
「髪色重視なの?!じゃあLはひじきだな!」
「私の髪はこんなに太くありません…しいて言うなら下のけ──…」
「じゃあ僕は栗きんとんかな。ヒヨは…」
言葉を遮られたLはライトを何とも言えぬ表情で見つめている。
いや、睨んでいる。
『へっ?私も何かあるの?』
「うん。…光っていて…儚い感じだから……金箔かな?」
「フン…盲目的だな。コイツはどう考えても伊勢海老だ。真っ赤なところがそっくりだ」
「普段赤くないじゃん!ヒヨは…コンブかな。こう…まとめてくれるところがね♪」
「私はかまぼこだと思います。ヒヨは透き通るような白い肌をしていますから」
誉め言葉なのか嫌味なのかさっぱり区別のつかない言葉たちを頑張って理解する。
儚くて盲目的な伊勢海老に真っ赤なコンブとまとめてくれるかまぼこの透き通る白い肌……何が何だか分からない…。
「はぁ…皆さんヒヨさんを全然分かっていませんね……」
「えっ?じゃあLは何がヒヨっぽいと思うの?」
マットが訊くと、真剣な顔をしてしばらくの間の後に答える。
「…ヒヨさんっぽいもの、それは……おせち料理を入れる箱です」
『は、箱……?』
「はい。それが正しいと思います」
いたって真面目な表情の彼。
『どうして…私っぽいと思うの?』
「…………」
Lは珍しく、顔を背けてなかなか話そうとしない。
頬をツンツンして『教えて?』と言うと膝の間に顔をうずめ、こちらを上目遣いで見る。
「貴女は……私達の居場所を作ってくれたからです…。おせち料理は箱が無ければただの料理です。しかし箱があるから……貴女がいるから私達がしっかりと意味を持つんです」
皆が唖然としてLを見つめる。
「確かに…さすがLだな〜。俺も箱に一票!」
「ヒヨって家って感じだからな」
「ヒヨがいなければ私達を仕切る者がいませんからね」
「何だか悔しいけど…異論は無いよ、L」
「ライト君の感想はいりません」
「何?!」
皆が討論している時……カァーっと火照った顔を隠す。
居場所を作ってくれた
そんな風に思ってくれていたのか…。
何だかとても嬉しくて恥ずかしくて…しばらく何も言えなかった。