おいでよ天才達の森
□第三話
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「さっ、着いた!一人で行けるか?」
『はい、大丈夫だと思います。ありがとう』
「うん!あっ、俺美容師やってるからいつでもおいで?」
『そうなんですか?是非行かせて頂きます!』
「ありがと!じゃあバイバイ♪」
そう言うとマットさんはのんびりと今来た道を歩いていった。
目の前には大きな建物。
レトロな雰囲気を醸し出しているが、決して古くはなくて綺麗な建物。
真ん中に付いている時計に目をやると、時間は午前10時半をさしていた。
意を決してドアをひいて中に入ると二つの窓口に何故か三人も受付の人がいた。
入って右の窓口にはモデルを思わせる程にスタイルの良い、顔立ちの整った金髪の女性。
左の窓口には若くて新人さんっぽい感じの口が可愛らしい黒髪の男性と、優しそうな顔をした金髪男性。
どちらに行けば良いのか迷っていると…
「どうかしましたか?」
っと女性の方が訊いてきた。
『あ、私今日から引っ越してきたヒヨと申します!』
「「「………」」」
あ、れ……?
私が挨拶すると三人は固まってしまっていた。
『え…っと、みなさ──…』
「ほんとっ?!」
そう叫んだのはさっきの女性で、あろうことかカウンターを飛び越えてこちらに跳んできた。
『うおっ!?』
「この村に引っ越してきたの?!嬉しいわ!ジェバンニ、レスター、聞いた?女の子よ女の子!」
そう言うと私を抱き締めてピョンピョン跳ね始めた。
「リ、リドナー落ち着きなよ。彼女痛がってるよ」
『〜〜〜…』
「あ、あら大変!大丈夫?ごめんね!」
『い、いえ…大丈夫です』
「…実はこの村、女の子の数が圧倒的に少ないのよ。だから嬉しくて…」
そう言い先程までとは、うって変わって控え目に微笑んでいた。
『そうなんですか…あの、何人くらいなんですか?』
「ん〜時々突然いなくなって帰ってくる人とか帰ってこない人とかいるから正確な数は把握できてないけど…十人くらいかしら?」
すくなっ!
この村来た時結構広く見えたのに…。
『じゃあ男性は…?』
「そうね…三十人くらいかしら?詳しいことはよく分からないわ♪」
だ、駄目だこの村……。
ヒヨはどうやら来るところを間違えてしまったようです…。
大体何で役所の人間が自分ちの村のこと知らないのよ…。
私は絶望にうちひしがれていた。
「どうしました?お嬢さん」
窓口の向こうから老紳士がやってきた。