おいでよ天才達の森
□第六話
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『監視……?』
「はい。実はその監視はある方に依頼されていました」
『依頼?』
大体予想は付いていた。
でも何故か勝手に口を出た言葉。
「…お察しの通り、貴女のお祖父様です」
心を読まれたのには驚いたが、私の予想は当たっていた。
だから祖父は全部分かっていたのか…
私の中で一つ謎が溶けた。
しかし……
『どうして私の祖父の頼みを引き受けたんですか?』
「彼とは昔から気の合う友人でしたので…それにあんなに心配そうな顔をした彼を見たのは久し振りだったので引き受けました。余程貴女を心配していたようです」
『……』
こういう時にどう反応して良いのか分からない。
泣けば良いのか喜べば良いのか分からない。
昔から感情を表にするのが苦手だったから。
少しずつ視界がボヤけていく。
「泣きたい時は泣いて下さい。今まで辛かったでしょう…」
そう言って泣きじゃくる私の背中を優しくさすってくれた。
だいぶ落ち着いた頃にワタリさんは優しく言った。
「この村は小さいから挨拶回りは楽だと思いますが、人が多いので回数は多くなるので気疲れするでしょう…休憩を挟みながらどうぞ。それと貴女のご自宅は既に用意してあります」
きっとそれも祖父の手回しだろう。
『ありがとうございます。一度家に行ってから挨拶をします』
「分かりました、気を付けて」
貰ったこの村の地図を見ると意外にも広いものだった。
ここからでは私の家は一キロ程歩けば着く。
ワタリさんが車を出そうかと言ってくれたが、歩きたいと言って断った。
そこまでしてもらう訳にはいかない。
でもきっとあの人は私がそう思ったことにも気が付いていたと思う。
のんびりと辺りを見ながら歩みを進める。
考えてみればこんなにゆっくりとしたことは初めてかもしれない。
いつもいつも追い詰められるような人生だったから…まだ十八歳なのにこんな悲観的なんて自分はつくづく悲しい人間だと思ってしまう。
『ハァ……』
溜め息の仕方は昔から変わらない。
何だか本当に悲しくなってきちゃったからもう一度辺りを見渡した。