もしもアナタが

□私の上司が変態なんです!
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「…──全然駄目です、後で社長室に来て下さい」


渡したばかりの資料を渡し返される。

結構上出来だと思ってたのになー…


『はーい…』


「返事は伸ばしません」


『……はい』


「上出来です」


こんなことで上出来サインが出ても嬉しくない…。

いや、今重要なのはそこじゃない。

歳がまだ若そうな……見る人によっては二十代前半に見えるくらいの我が社のイケメン隈付き猫背社長である竜崎氏から発せられたこの一言……


「後で社長室に来て下さい」


これはまずいことになった…と頭を抱える新入社員のヒヨは、一度自分のデスクへと戻ってから社長室へと向かう。

席をたつ途中、社長の席を見てみたがすでに部屋に戻られたのか、もぬけの殻だった。



コンコン


「どうぞ」


『……失礼します』


ビルの最上階にあるこの部屋はとても見晴らしが良くて、結構お気に入りの眺めだったりする。


「ヒヨさん…」


部屋に入り社長の座るソファへと近付き側に立つ。

社長は私にとっての普通の座り方ではなく、彼にとっての普通の座り方をしている。

そして膝の上に置かれていた手を私の手に重ねてきた。


『あ、あの……』


今は仕事中なんですけど……。

大体資料のことについて呼び出しを受けた筈だ。

それなのにこの甘ったるいムードは何なんだ。

でも正直言うと、最近こういう風に触られるのが増えてきているからあまり驚きは無い。

無いけど……。


「貴女は期待の新人なんです。分かっていますね?」


『…はい』


珍しく足の裏を床に付けて座り直した。

手を握りながら説教か…と思いはしたが、今は仕事中だ。

環境や状況なんて関係無い。


「では……何故貴女は仕事しか見てないのですか?」


『……はい?って…きゃっ!?』


突然手を引っ張られたかと思ったら、次の瞬間社長の片足の上に跨がるようにして倒れ込んでいた。


「私は貴女には…私のことだけを見てほしいんです……」


『なっ、何言ってるんですか!これは仕事──…むぐっ?!』


反対側の手で思い切り腰を引かれ、折り畳んでいる私の右足の上に彼が乗り上げより一層互いが密着する。

空いた手で肩を押して、掴まれた手を振りまくり、身体を捩る。

が、抵抗もむなしく全くピクリともしない。

それどころか唇を舌で舐められている。

息苦しくてほんの少しだけ口を開くと、それを待ってましたと言わんばかりに入ってくる舌。


『はんっ…!んぅ……』


上顎を舌でくすぐられると一気に脱力してしまい、抵抗が無くなったのを良いことに腰に当てられていた手は下へと下りてきた。


『っ……!』


「った……痛いです、ヒヨさん」


ヤバイ…と思い、若干手加減しながらも入ってきていた舌を噛む。


『い、痛いですじゃないですよ!どこ触って──…』


「いけませんか?好きなくせに…」


『な…ちょっ、と……んっ!』


彼の細い太股が少しだけ小刻みに動き出す。


「……感じてるんですか?」


『ち、ちが…ぁ…んっ!』


「そうですかー。足りないようならもう少し動いてあげますよー」


ふざけたような口調で本当に動きを大きくしながら早めてきた。

もう既に手は解放されていたが、全く抵抗できずに彼の服を力無く握っている。


「それと……どうしてこの間の返事、聞かせてくれないんですか?」


『そ、れは…ん…』


「同じ気持ちなんですから早く言えば良いんですよ、好き、と」


図星を指摘されて無意識に身体がビクリとする。

何か言い返そうと思いはするけど言葉が出てこない。

何も言えないでいると首筋に顔を埋めてきた。


「お願いします。もう我慢出来ないんです…」



チュッ



『んっ……』


ブラウスのボタンを三個ほど開けられ、胸元の柔らかいところに少し強めに吸い付かれる。


「これより先に…進んでも良いですか…?」


本当にこの変態上司にはついていけない…


でも上目遣いに訊いてくる彼は…何とも言えないくらい可愛い顔をしていて……


思わず頷いてしまう私は


甘いのかしら?
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