美男子高校一年生

□1時間目
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『っ…はぁ…はぁ……』


「おーい!頼むって鳥子ーっ!!」


『っるせーっ!ついてくんなよっ!!』


これ以上走ったらまずい…。

さらしで巻いて押さえてはあるけどもし外れでもしたら……。


走りながらカーブを曲がり前を向くと、保健室の扉の隙間から見えている親指を立てた手が視野に入る。

もうあそこしか…

あぁでも嫌だ……


息を切らしながら必死に追いかけてくる柔道部部長とラグビー部部長と……あとは分からない。

とにかく、今捕まればとてつもなく面倒なことになることだけは分かる。



ガシッ





『っ…うわっ!』





バンッ



ガチャ



『はっ…はぁっ……はぁ…』


「シッ…」


引っ張った相手に馬乗りになってしまい、退こうとしたら腰と口を手で押さえ付けられ黙らせられる。


「…──どこいった?!」


「知らねぇよ!チッ…鳥子は絶対にバスケ部が頂く…!」


そんな会話と足音が聞こえたが、遠退いていってくれたから一安心。

押さえられていた手が緩む。


『ありがとな、助かっ──…っ?!』


力を入れて伸ばした腕を引っ張られて、視界がグルリとすごい早さで回る。


『ってぇ…!』


頭を強く打ち付けてしまい痛さに目を閉じる。


『何するんですか、ルエ先生っ!』


「クックックッ…相変わらずモテモテだな、鳥子クン?」


『っ…“うるさ──…』


「い”のはお前だろ?」


『んっ…!』


両手を床に張り付けられて全く身動きがとれない。

何で…

何でコイツはキスばっかしてくるんだよ…!


やっとのことで離れた唇。


「良いのか?俺に抗えばお前が女だということが皆に知れ渡るぞ?」


『っ…きたねぇぞ!』


「言葉遣いもだいぶ男っぽくなってきたな。それにしてもよく校長と契約したな」


ルエ先生は退いて立ち上がりながら手を差し伸べてきた。

その手を無視して立ち上がるといきなり手首を掴まれて引き寄せられる。


「見てみたいんだよ…お前が校長との賭けに勝てるかどうか…。勝てれば学費免除、負ければ校長と結婚…こんなに面白い賭け、そうそう無い」


最低だ…コイツ。

たぶん校長が私を追い詰めるためにわざと教えたんだろう。

こんなヤツに…あんな校長に負けてたまるか!
 

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