夢の世界
□日常 / inzmCS
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「あ、栞さん!」
夜中、宿代わりにしているボロい家をこっそり抜け出し、プロトコルオメガ2.0の試合について考えてた時、後ろから天馬の驚いた声が聞こえた。
『天馬?どしたの、こんな夜中に』
「栞さんこそ、何か考え事ですか?」
ちなみに、天馬よりあたしの方が年上だから"さん"付けなんだけど、マネジ始めた当時は同い年に見られたっけ……泣
背が小さくて、童顔だからね ドヤ
『うん、なんだかここ数日の間に色々あり過ぎてて、頭の整理してた』
天馬の前でプロトコルオメガ2.0との試合が不安だなんて言えなく、少し嘘をついた。
「…確かに、いきなり過去が変わってサッカーが失くなって、アルファやベータ達と戦うことになって…」
『円堂監督もチームの皆もいなくなっちゃって……、それで大介さんに話を聞きに行ったのはいいけど、まさか石にされちゃうなんてね』
「うん、それに今は最強の11人にするための歴史上の人物達のオーラ集めだもんね」
天馬が苦笑いする。
今まで自分の現状をあんまり考えた事がなかったのか、改めて考えると自然と顔が強張る。
『でも、まさか信長の時代に来るなんてなぁ……』
つい不安だという本音を漏らしそうになり、口を止める。
「栞さん…?」
天馬が顔を覗き込んでくる。
(やば、)
心配かけさせまいと必死に笑顔をつくる。
『あ、えっと、なんでもないよ!』
焦ってるあたしの様子を見て天馬が怪訝な顔をする。
「栞さん、不安、なんですよね?その、色々と、これからのこと」
『え……うん。なんだか見てる限りだと神童君と信長のミキシマックスが成功するのか危ういし、ベータ達は強すぎるし…』
本当にサッカー、取り戻せるのかな……
図星をつかれちゃったので、思った事を言ってみた。
すると天馬がスッと立ち上がってあたしの前に立った。
自然に見上げる形になる。
いや、天馬のが身長高いからいつも少し見上げてるけど……
「……正直言うと俺だって不安だよ。でも守りたい、助けたい仲間がいて、それでサッカーを取り戻したいってゆう気持ちがあって……」
あれ、なんだろ…
何か熱いものがあたしの中からこみ上げてくる。
「だから俺は、不安な気持ちがあってもそれに負けない気持ちで頑張れる!」
天馬がしゃがみ込んで、あたしと目線を合わせると力強い笑顔で頷く。
「なんとかなるさ!」
なんだか、天馬がいつもよりかっこよくみえて、年下なのに、胸がときめく。
『うん、ありがとう、天馬』
あたしも、涙を流しながらだったけれど力強い笑顔で頷く。
その時、天馬の頬が少し色づいたのは気のせいだったかな。