少しでも、あなたを記憶の片隅に。
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ドジな自分、優しい彼
マネージャーの日々は本当に忙しい。
ただでさえ人数の多い部活なのにマネージャーの人数が少ない、というか減ってしまった。
『初め何人いたかも忘れちゃったな…。』
皆厳しさに負けてやめていき、今は私の学年に2人、先輩が3人と計5人で頑張っている。
洗濯物から後片付けまですべてマネが行うことになっているが、皆手伝ってくれて正直助かっている。自立しているというか何というか…。
「ななしの、スポーツドリンクってまだあるか?」
「えっ。あ、ちょっと待ってて。今見てくるから。」
「すまんな。」
「いいよいいよ。」
私は急いで部室の方まで行き、冷蔵庫を確認した。
『スポーツドリンクもないし氷もない…。あれっ、昨日ちゃんと補充したはずなのに。』
ボケてきたのかな…。
「まさか。」
「おい、大丈夫か?」
「あ、ごめん!ぼーっとしてた。」
牧君がわざわざ見に来てくれた。否、来させてしまった。一刻でも早く買いに行かないと部活後の皆にも影響してしまう。
「全く…相変わらずだな。」
そう言って、ぽんっと頭にのせられた手からは牧紳一のおおらかな心が伝わってきた。子ども扱いされているようだけど、何度やられても牧だったらなんだか許せた。
「急いで買い出し行ってくるから、監督に一言お願いしてもいい?」
「あぁ、わかった。」
私は大急ぎで靴を履き替え、学校を出る。
時刻は夕暮れ時だった。
『…相変わらずって言っても、まだ1年しか一緒にいないじゃない。牧君面白いの。』