少しでも、あなたを記憶の片隅に。
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神様なんて信じない
近くのスーパーで2リットルペットボトルと、もうなくなりかけていたテーピング類を買い、両手に下げてあとはもう帰るだけだった。
すると帰り道にさっきまでいなかった不良軍団がたむろっていた。
『…どうしよう。』
私がおろおろしていると不良の一人が私に気づき、前に立ちはだかった。
「おい、じろじろ見てんじゃねーよ。とっととうせろ。」
「は、はい…。」
私は言われた通り横を通ろうとした。
その時だった。
「なぁ、こいつ三井の元カノに似てねぇか?」
「うっわ、超ラッキーじゃんか。」
不良たちは私のことを品定めするかのように上から下まで見て、好き勝手なことを言っている。
そして行こうとしても行く手を阻まれ、私は動くことが出来なくなった。
『早く行けって行ったの、そっちじゃない…。』
私は泣きたくなった。しかし、それに追い討ちをかけたのはその後だった。
「あれ。その服、もしかして海南のバスケ部?」
「まじかよ。やべー、三井ちょっと見ろよ!バスケ部だってよ、バ・ス・ケ・部。」
ある人が三井という人を呼んだ。その人は後ろの方でヤンキー座りをしながらタバコを吸っていだが、いきなり立ち上がり、すごい形相でこっちを見た。
「うるせーなお前ら!俺の前でその単語言うんじゃねぇ。…次言ったら殺す。」
「チッ…。」
その人は舌打ちをして向こうに行った。
その人がいなくなったことで前の視界が開け、私は三井という人と目があった。
はっとした。
今まで出てきた単語を頭に思い浮かべる。バスケ…三井…
「ひーちゃん…?」
私は聞こえるか聞こえないかのか細い声で、幼馴染みの名前を呼ぶ。
くわえていたタバコをぽろっと落とし、「お前…」とつぶやいた彼。
あぁ、神様
このような出会い方があるでしょうか
彼はまさしく私が探していた三井寿、バスケットボールプレイヤーだった。