少しでも、あなたを記憶の片隅に。

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神宗一郎は後悔していた。
彼女を三井の家に一人置いてきたことを。
高校生の男は何を起こすかわからない。自分はまだ1年生だからそういうことは気にしてなかったけど、相手は2年生だった。

『なっちゃん先輩が心配だ…。』

きた道を戻り、駅の方にも自転車を進めてみる。
すると前に同じ学校の制服が見えた。

「先輩!」

キーッとブレーキをかけた音がやけに耳に残った。そしてその時見た先輩の顔を、俺は忘れない。

「先輩家どこですか。」

腰あたりに腕をまわさせ、俺は無我夢中で自転車を走らせる。


彼女の気持ちをも追いたてるかのように、帰りの風は追い風だった。

早く2年生になりたい。

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