少しでも、あなたを記憶の片隅に。
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翌日、湘北との練習試合は圧勝だった。
『…。』
三井は結局姿を見せなかったのである。
そんな湘北は3年には覇気がなく、目が留まるといえば2年生の赤木っていう人と、まだ1年ながら声を出すマネージャーの彩子ぐらいだった。
『あの木暮って人も頑張ってたけど…。』
試合が終わった後も、私はベンチで試合結果の記入や得点の詳細など、メモしたものを清書していた。
しばらくして、私の手元がいきなり暗くなった。ふと上を見上げると、そこには湘北の赤木選手がいた。
「あ…赤木さんですよね?」
「そっちこそマネージャーのななしのなっちゃんで間違いないよな。」
「じゃあ三井のこと…」
後ろから顔を出したのは木暮選手。しかし、その言葉は赤木によって止められた。
「三井からお前の話は聞いている。今…この後時間はあるだろうか…。」
部長にこの後の予定を聞き、午後までに間に合えばいいとのお達しだったので、私は赤木と木暮と少し話すことにした。
赤ユニフォームの湘北はまだ青い