少しでも、あなたを記憶の片隅に。
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「お前は三井の幼馴染み、なんだよな。」
「うん。」
「…最近は会ってないのか?」
赤木と木暮は神妙な顔をして私の言葉を待った。
「会ったよ。でもあなた方に話せるような人じゃない…。」
「そうか…。」
赤木は腕をくみ、顔を下に向けた。外からの光が逆光になって表情まではわからなかったけれど、落ち込んでいるのは確かだった。
「実は…三井は本当につい最近まで一緒に練習していたんだ。」
木暮は話し始めた。
そこでわかったのは、三井は足の怪我により断念だった。
選手にとっての命。
彼はリハビリも頑張ってたという。
「…今日の試合、見てわかったように俺たちの先輩は全国なんて夢のまた夢だという。だが俺たちは全国を目指したいんだ。それを三井とも約束した。」
『お前と誓ったとも話してたぞ。』
赤木はぼそっとつぶやいた。
「ななしの…できたらでいいんだ。三井を、三井をまたバスケに夢中にさせてくれ…。」
帰り、私は木暮が切実に言ったあの一言が心に刺さっていた。
みんな気持ちは同じ