でゅふw
□繋いだこの手
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この手を離さないで。
そう願うようになったのはいつからだろう?
デビューした、幼い頃から必死で追い続けていたその背中。
いつも、いつでも僕を守っていてくれた大きな背中。
そして、気づかない内に繋がれていた、その暖かな手。
『男同士のスキンシップはキライです』
そう言って以来、目に見える触れ合いはなくなったけれど。
それでも、僕がどうしようもない時には、必ずと言っていいほどあったその手。
苦しくて、辛くて、もうどうにもならないくらいに僕が壊れかけていた時にも。
やっぱりその大きくて、暖かい手で僕を繋ぎとめてくれた。
自分だって、どうしようもないくらいに辛くて、苦しかったはずなのに。
『必ず、守りますから!』
そう僕の両親に言ってくれた時も、僕の手は暖かな手に包まれていた。
ねぇ、僕はずっとずーっと貴方に守られていた。
でもね、これからは僕も貴方を守りたいんだ。
僕に出来ることなんて、たかが知れてるんだろうけど。
それでも、貴方の守りたいものを、僕も一緒に守りたいんだよ。
『ユノ・ユノの隣には、僕しか立てない!』
そう思えるようになった僕は、少しは隣に立つに相応しくなったかな。
ふわりと揺れたカーテンの向こうには、青白く輝く天満月。
月明かりに照らされた貴方を見て、何故だか泣きたくなった。
きっと、安らいだ顔で眠っている顔を見たからだ。
「ヒョン、僕は今…幸せですよ」
スリ、と胸元に擦り寄った。
あえて顎先にチュ、と口付けて目を瞑った。
今日は、夢も見ずに眠れそうだ。
「愛してますよ、僕のユノ…」
意識が闇に沈む前、僕を抱きしめていた腕にギュっと力が入った気がした。