Your Song
□デッサン画
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そう言えば、と顔を上げる。
「さっき学祭って言ってましたけど。
智さん・・大学生なんですか?」
「うん。」
「今って・・夏休みだから?」
「そう。ばあちゃん一人で寂しいかなって思って。」
お爺さんは・・?
聞いちゃいけないかもしれないと思ったら、
顔にしっかりと出ていたらしく。
「ああ、爺ちゃんもいるいる。元気だから。
清里の方へ、イラストレーターさんの個展を見がてら行っちゃってんの。」
笑って言われてしまった。
そんなにわかり易い顔してるかなあ・・。
その後、お爺さんが書いたという本を
何冊か見せてもらった。
主には童話だったけれど、
時々詩やエッセイ・・・旅日記のようなものもあった。
その中の一冊。
星の海の・・小さな子向けの話。
「・・・これ知ってる。うちにある・・・。」
そっと瑠璃色に金の星が描かれた表紙をなぞる。
小学生の頃、大好きだった本だ。
まだ本棚にとってある。
初めて一人で選んで・・買ってもらった。
自分が選んだ本っていうことと、
中身もとても素敵な本だということが
幼心に誇らしかったのを覚えている。
「・・・すごい///・・ちょっと感動しちゃった・・。」
「へえ。爺さん、結構知られてるんだね。」
「どれ?どの本?」
スイカの汁で濡れてる手を気にしながら
まーくんもこちらを覗き込んできた。
表紙を見せて「これ♪」とドヤ顔をする。
「お前の本じゃないだろ〜?///」
「いーんだよぅ♪持ってるんだもん・・♪」
双子を見つけたような気持ちで、その本をもう一度見つめた。