カルトレディと鉄の処女
□カルトレディと怪現象
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とりあえず説明はこれくらいで。
今、ワカさんは。
「あーあ。古賀起きちゃったの。」
俺の脚の間にいた。
しかもベルトを掴んでいた。つうか脱がそうとしてた。ベルトが外し辛くて苦戦したらしい。
この体制ヤバイだろ。いろいろマズイだろ。
「何して…!」
叫ぼうとした矢先に声を出す気力が無くなった。
ワカさんが…何か持ってる。
…またか。
「だーかーらー。別に古賀が期待してるようなことじゃないってば。男の子なんだから。」
「期待してないし…。何持ってんですか。」
事あるごとに、ワカさんは何か仕掛けてくる。隙を突き不意をつき、俺に何かしら拷問具と思しきものを使おうとしてくる。
「これ?貞操帯。」
「…何付けようとしてんスか…。」
「貞操帯はもともと女性の性行為の負担を軽減されるために作られたものなの。近年はむしろ男性用が多くて、そういったプレイに用いられる事が…」
「もういい喋んな。黙れ。」
もうヤダこの人。
「…やっぱり私が間違ってたよ。」
え…?
「どうしたんスか。」
急に反省し始めた。
言い方キツかったからか?いやでも今更…。
「やっぱりこんな…革とゴムで出来たような安物じゃ古賀も納得しないよね。やるならしっかりしないと!鉄でオーダーメイドにした方が!」
「…はぁ!?」
「ちょっとサイズ測らせなさい古賀!脱げ!」
「脱ぐかボケ!離せ!さわんな!!」
反省する点が違う!
すこぶるどうでもいい!
無理矢理脱がそうとするワカさんの手を押さえつける。怖い人だけど力はそのまま女性だ。片手があればあっさり彼女の両手を封じる事ができた。
「はーなーせー!」
「ふざけんなー!」
ワカさんが俺から逃れようとするのを何とか抑える。そのまま貞操帯を奪い取った。
「あー!返して!あ!もしかして自分付ける?」
「んなわけねーだろ!」
とりあえず部室の端に投げる。
「投げたー!ひどーい!」
「酷いのはどっち…ぅわ!」
ワカさんがそれを追って逃げ出そうとしたのを何とか捕まえる。
また取られたらまた付けらそうになる。
少々乱暴だが床に押さえつける形に…。
ガラッ…
「はーなーせー!ちゃんと付けようよ!私の為だと思って付けようよ!」
「あんなもん付けるか!ワカさんの為とか知らねえよ!」
「酷いー!こんなに頼んでるのにー!サイズ測ったら新しいの買ってあげるからゴムでも我慢してよー!」
「そういう問題じゃねえって!」
押さえつけたまま口論…あれ。
今、扉が開いたような…。
「あ…。」
扉に目をやった。
入り口に女の人が立っている。初めて見る人だった。
立ってるっていうか…固まってる。
冷静に今の自分の姿を見る。
横たわる美女と。
床に押さえつけてる俺と。
さっき脱がされかけて緩んでるベルト…。
「…。」
「きゃ…きゃあああああああ!」
「ち…ちが…ちがあああう!」
女性が悲鳴を上げて逃げていく。
確実に、誤解を招いた。