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□戦パラ 小説
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謎の男A
秀秋が屋敷の中に入ると、秀家は庭で木刀の素振りをしていた。
秀家は秀秋の姿を見つけると、驚いたようにその手を止めた。
「秀秋!?…どうした、珍しいな。」
「秀家こそ、素振りしてるなんて珍しいね。」
「フッ。美とは、強さを兼ね備えてこそ、本物の美となるゆえな。…それで、秀秋、そなたはどうしたのだ?」
「あ、そうそう。今は、一番茶の季節でしょ?いいお茶が手に入ったから、秀家と一緒に飲みたいなって。はい、これ招待状。」
秀秋ははにかみながら、持ってきた招待状を秀家に差し出す。
「受け取って…くれる?」
すると秀家は優雅な手つきで招待状を受け取った。
「フッ。無論だ。…そなたと、茶を飲むのも久しぶりだな。楽しみに、しておるぞ。」
秀家はわざと顔を背けて言う。
「うん!ありがと!!!」
秀秋は太陽のような笑みを浮かべて答えた。
「ところで、秀家…」
秀秋は今見た男のことを言おうとした。
しかし、その男が、この屋敷の主には言わないでくれと言っていたことを思い出した。
「む?なんだ?」
「…ううん。なんでもない。じゃあ、美味しいお茶入れて待ってるからね!」
「あ、あぁ。では…な。」
秀秋はそう言うと、宇喜多屋敷をあとにした。