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□戦パラ 小説
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相談C
屋敷に帰る道で、甲斐姫と秀秋は今の男…小西弥九郎について話していた。
「小西さん…だっけ。不思議な人よね…。そもそも、どうして秀家さんに自分のことを秘密にしたがるのかしら。」
「うーん…。しかも、三成たちとも知り合いみたいだし。ただの商人じゃないよね。」
そうこうしているうちに、甲斐姫の屋敷に着いた。
「…ねぇ、秀秋くん。東軍の皆に相談してみましょうよ。特に、清正さんや正則さんなら何か知ってるかも…。」
「そうだね。皆を呼んでみるよ。」
そうして、東軍の武将8人が甲斐姫の屋敷に集まった。
「…へぇ、旅の薬屋か。僕も薬を煎じるのが好きだから、すごく興味深いね。」
「!!よし、今すぐその薬屋を捕まえ…」
「…捕まえてどうする。招待して来てもらえばいい…。」
「ま、忠勝の方が正論だな!俺はどっちでもかまいはしねぇが。」
家康、直政、忠勝、政宗が議論しているなかで、清正と正則は黙っている。
「清正さんと正則さん、何か知らない?」
「…まさかあいつが、本当に薬屋をしてるとは、な。」
「お、おい、トラ…。」
いつもとは逆に、正則が清正をたしなめている。
全員の視線が清正に向く。
「…清正…さん?」
清正はいつになく険しい表情をしていた。
「堺の薬屋、小西弥九郎…か。懐かしい響きだ。なぁ、マツ?」
「あ、あぁ。」
正則は居心地が悪そうに目を反らす。
「清正…何か知ってるの?」
秀秋が問う。
「…あいつとは、いろいろあってな。…奴は商人の家に生まれはしたが、生粋の商人じゃない。俺たちと同じ武将だ。だが、俺が旅に出る直前に姿を消した。…商人に戻っているとは、思わなかったが。」
「…そういえば、言ってたよ。正則や清正は元気かって。」
それを聞いて、清正は心底驚いた。
「あいつが俺の心配!?三成や吉継やマツだけならわかるが、俺の!?」
「う、うん。清正の名前もちゃんと言ってたよ。」
「…トラ、そういえばお前、行長と仲悪かったもんな…。」
「行長?」
初めて聞く名前に、皆はきょとんとする。
「奴の…、小西弥九郎の名前だ。武士の時は行長、商人の時は弥九郎を名乗っているみたいだな。」
「へぇ、そうなんだ。…ねぇ、もしかして行長って人、秀家に何か関係ある?」
秀秋が尋ねる。
「…あぁ。奴は太閤殿下に仕える前は宇喜多家に仕えていたらしい。」
「…そう考えると、辻褄が合うね。西軍に、文を送ってみよう。」
そう言うと、家康は西軍の総大将石田三成宛に文をしたためた。